昨年9月24日に女優・川島なお美が息をひきとってから早1年が過ぎました。

彼女の死は、まさに彼女の生きざまを最後まで体現していたように思えてなりません。

女優川島なお美が、「命より大事にしたもの」とは何だったのか。

命日の今日、いま話題の書『瘦せ姫 生きづらさの果てに』の著者エフ=宝泉薫氏が「女優川島なお美の生」について語ります。

記者会見が行なわれたイベントでの姿。ブログでも「激やせとか言われちゃうんだろうな」と書いていた。

 

命よりも大事なもの

 

 今では当たり前のように使われる「激瘦せ」という言葉。しかし、その歴史は意外と浅く『広辞苑』のような辞書にもまだ掲載されてはいません。1980年代あたりから、激しく瘦せた(瘦せている)有名人を指す言葉としてマスコミが頻繁に使うようになり、世間にも広まりました。

 そんな有名人の激瘦せの例として、記憶に新しいのが川島なお美です。

 ここ10年くらいはずっと、158センチ42キロという細身の体型でしたが、

2015年9月、記者会見に登場した彼女はさらに瘦せ、体重は30キロ台前半なのではといわれました。にもかかわらず、露出の目立つドレスを着ていたことで、マスコミも世間も驚きの反応を示します。

 その多くは、前年1月に手術を受けた胆管ガンの進行を危惧するものでした。ただ、拒食症を疑う見方も出て、一部からはこんな声も囁かれることに。

「病的で、見るに耐えない」「手足は隠すか、公の場に出ることを控えるべき」

 ところが——。これとは逆の反応を示した人たちがいます。たとえば、ミクシィの「骨皮筋子」というコミュニティでは、こんな書き込みが。

「このくらい綺麗に瘦せたら羨ましいです」「細くなる秘訣を教えてほしい」

 そう、瘦せ姫たちのなかには、彼女の激瘦せに憧れを抱く人もいたのです。

 実際、その姿には美しかった人が病的に瘦せることで生じる「萎(しお)れの美」というものがありました。世阿弥は『花伝書』においてそれを「花の盛り」以上のものだと見なしていましたし、紫式部も『源氏物語』のなかで、晩年の瘦せ細った紫の上について、このうえない美しさだと絶賛しています。

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