4月1日、エイプリルフール。この日は自社サイトやSNSを通じて“ウソの商品やサービス”が発表されるなど、日本の企業にもすっかりお馴染みとなったイベントデーである。

 しかし今年4月1日、各社が趣向を凝らしたネタを公開するなか、まさに冗談とも取れるCMを放送したのが赤城乳業だった。埼玉県深谷市の本社前にズラリと並ぶのは、社長をはじめとした100人前後の社員たち。昭和の名曲『値上げ』が流れるなか、表情を崩すことなく彼らは頭を垂れる。そして、画面中央には値上げを示唆する「60→70」の文字……。

「ガリガリ君」の10円値上げを告知するCMは、海外でも大きな反響を呼んだ。

 2016年4月1日、赤城乳業は25年ぶりに主力商品『ガリガリ君』の値上げ(60円→70円)に踏み切り、その旨を報告する値上げ謝罪CMを放送したのだ。

 このCMは反響を呼び、値上げ初月である4月の売り上げは、ダウンどころか前年同月比で10%アップしたというから驚き。「四月馬鹿」の日に“馬鹿正直”な報告をする赤城乳業とは、どのような企業なのか? 同社のポリシーに迫った。


 ◆しれっと値上げしている会社もあるかも… 

赤城乳業マーケティング本部の岡本秀幸氏。かつては開発本部に所属し、大ヒット商品『ガリガリ君リッチ コーンポタージュ』を開発した人物でもある。

 「“馬鹿正直な会社”だと思われていることでしょう。しれっと値上げしている会社もあるかもしれません。『でも、それってやっぱりお客様に嘘をついている気がするよね』というのが弊社の考えなんです。さらに当時は『どの分野からの取材・問い合わせにもすべて応じる』と決めていました。お客様から厳しい意見をいただくこともありましたが、すべてに対して誠実に応じることが、値上げCMを放送した企業としての責任ですから」

 こう語るのは、赤城乳業営業本部マーケティング部主任の岡本秀幸氏だ。表立ってアナウンスしづらいことでも、その後の対応に責任を負う覚悟を決めた上でアナウンスする。それが消費者からの信頼を得る最良の方法のひとつだと同社は考える。

 こうした赤城乳業の方針は「本庄千本さくら『5S』工場」(以下、『5S』工場)にも色濃く表れている。『5S』工場は、日本最大規模のアイスクリーム生産工場であると同時に、アイスクリーム工場として“日本初の工場見学”を実施した工場だ。