女性の社会進出が叫ばれて久しい中、どんなにがんばっていてもまだまだ生きづらい、窮屈だなという感情にとらわれていませんか。その原因は自分自身の中にも少なからずあるのかもしれません。ただ、それはちょっとした思考の転換で、楽になることばかり。315万部突破の『女性の品格』の著者・坂東眞理子が、前例のない時代を生きる女性におくる最新のヒントをお伝えします。

 

 

女性の人生設計図が大きく変わろうとしています。

長い間、日本の女性は農家なり商家なりの働く母、働く祖母でした。ところが、歴史上特別な時期である20世紀後半の半世紀、日本は急速に都市化、雇用者化が進み、夫はサラリーマン、妻は専業主婦という家庭が増えました。夫は仕事、妻は家事・育児介護に従事するという性別役割分担が一般的となり、職場にもそれを前提とした制度慣行がつくられました。ほとんどの男女が結婚し、離婚率は低く、定年まで雇用は保障され、人生の選択肢は多くありませんでした。女性の人生の選択肢は限られていたのです。しかし、こうした時代は過去のものとなりつつあります。


経済成長は足踏みし、少子高齢化が深刻となり、「女性が輝く社会へ」と、安倍晋三総理をはじめ、企業経営者、政府関係者は声を大にしています。男女雇用機会均等法、育児・介護休業法のような法律や待機児童ゼロ作戦などにより、仕事と育児を両立する制度は少しずつ整い、職場の風土も変わり始めています。さらに2012年12月に発足した第2次安倍政権が、女性の活用を今後の成長戦略の柱にしたことで、“ウーマノミクス(「ウーマン(女性)」と「エコノミクス(経済)」を組み合わせた造語)”があらためて注目されています。これはゴールドマン・サックス証券株式会社の副会長、キャシー松井さんが提唱した、女性パワーが経済成長をもたらすという考え方です。

安倍総理は14年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、「いまだに活用されていない資源の最たるものが女性の力。日本は女性に輝く機会を与える場でなくてはならない」と演説しました。

同年6月に発表された成長戦略(改訂版)にも「女性の活躍推進」を盛り込み、2020年までに

(1)女性の就業率(25歳~44歳)を73%に引き上げる(2012年には68%)

(2)企業などで指導的地位を占める女性の割合を30%程度にする

と具体的な政策目標を掲げ、15年の通常国会では女性登用の行動計画の策定を求めた女性活躍法も成立する予定です。(※刊行当時)

こうした変化の中で、これからの女性にとって母や祖母たちの昭和の生き方モデルはもうお手本になりません。自分で考え、判断し、選択に責任を持って生きていかなければならなくなっています。

「女性の力を活かす」とは、経済的活動の分野だけではありません。女性が持つ、いろいろな可能性を、家族だけでなく社会のあらゆる分野で発揮することがもとめられているのです。その際に、一人ひとりが知性を磨いて、昔からの思い込みや偏見によるマタハラ(マタニティ・ハラスメント=妊娠、出産を理由にしたイジメ)、パワハラを乗り越え、あふれる情報に流されないことが必要です。 

「知性を磨く」目的は、職場で上手に立ち回り、男性に負けないように精進し、富や成功を得ることではありません。自分の可能性を伸ばし、お互いを支え合い、協力できる人を増やし、つまらない嫉妬や羨望にとらわれないことです。そして自分もポジティブに生き、周囲も幸せにすることが知性を磨く目的なのです。

男性的成功を目指すことも可能になった今こそ、女性が知性によって幸せな人生を生き、周囲の人も幸せにすることが求められています。

 

 

「知性を磨く」
今、女性に求められていることはまさにこの言葉に集約できると言っています。その理由として、私たちの親世代、祖父母世代の画一化された昭和の生き方モデルが崩れ、お手本のない時代を私たちは生きなくてはいけないからです。
そんな難しい時代に立ち向かうためには、「前例どおり」ではなく、創造性を発揮していかなくてはいけないのです。
ですから、今が辛いな、生きづらいなと思ったときこそ、そこに甘んじることなく自分で自分を奮い立たせ、新しい生き方を切り開いていくんだというエネルギーと、「知性」を持つことが大切です。
いま一度、自分の日ごろの考え方、行動を振り返り、もっと気持ちが楽になる、生きやすくなるための行動を選択していきましょう。

<『女性の知性の磨き方』より抜粋>