教育を「投資」であるとするならば、中学受験という選択は大きなコストをかけるかわりにさらに大きなリターンを求めることにほかならない。では実際に中学受験をして私立校にすすんだ子どもたちは将来どれぐらい稼げるようになるのか。『公立VS私立』(著:橘木俊詔、ベスト新書)は、経済学者・橘木俊詔氏が、こうした「教育投資」の問題も含めて公立と私立の格差に迫った意欲作。同書では公立中高出身者と私立中高出身者(中学受験経験者)に分け、現在の年収を問うアンケートを行っている。次に調査の結果をみてみよう。学校選びに迷われる親御様にひとつのデータとして参考にしてもらえれば幸いだ。
 
 
 

 公立中高出身者と私立中高出身者で、現在の年収はどれほど差があるのでしょうか。キーワードは年収「500万」です。年収500万円以上の高所得者帯で大きな差が出ています。年収500万円~600万円未満:公立3.5%、私立10.1%、年収600万円~700万円未満:公立3.5%、私立7.0%、年収700万円~800万円未満:公立3.1%、私立4.3%、年収800万円~900万円未満:公立1.6%、私立2.7%、年収1000万円~2000万円は公立0回答、私立のみ1.9%、年収2000万円以上:公立0回答、私立のみ1.6%――という結果でした。

 中高に限ってですが、私立中高出身者のほうが公立中高出身者よりも所得が高いというのがみてとれます。なにをもって「モトが取れる」とするのかという厳密な判断はともかく、一般論として私立に行った人は「金銭的にはかなり回収している」ということが言えるでしょう。

 しかしながら、大学を出たあと、どれだけの所得を得るのかというのは、その人がどういう職業に就くか、どこまで出世するかということに大きく左右されます。平均的に見て私立中高に行った人のほうが高い所得を得ているから、コストを回収できている可能性は高いです。しかし医者になるとか、企業で出世して部長、重役、社長になった人をみると、そちらのほうがはるかに多く回収していると言えます。ですからどういう職業に就いたか、どこまで出世したかを本来は詳しくみる必要があります。

※アンケートは25~39歳の社会人で中高公立校出身者243名、中高私立校出身者248名(中学受験経験者かつ中高とも同じ学校に進学)を対象に行なった。

(『公立VS私立』をもとに構成)