史上初のカド番場所での全勝優勝を飾った豪栄道が、11月場所(11月13日(日)~27日(日)/福岡国際センター)で横綱初挑戦を迎える。おそらく場所前は誰も予想していなかったであろう初優勝の勝因を本人は「先のことを考えず、その日の一番に集中してできたこと」と話す。右手首の負傷、右足大腿の肉離れ、顔面骨折など、この1年はケガに泣かされ続け「ぶっつけ本番に近い場所が続いていた」と満足に稽古ができない状態が続いていた。しかし、先場所前は出稽古に来た横綱日馬富士と内容的にほぼ互角か、それ以上の稽古に終始するなど「そういうのが自信になった」とある程度の手応えを掴んで場所に臨んだのだった。


 8日目、無傷で勝ち越してカド番を脱出して以降は、勢いや周囲のムード、さらには勝ち運をも味方につけての快進撃。13日目の横綱日馬富士戦は攻め込まれ、絶体絶命のピンチに陥りながらも捨て身の首投げが見事に決まり、劇的な逆転勝利。実質的な“天王山”を制したことで初賜盃を手繰り寄せた。


 さて、綱取りを迎える大関の場所後は、挨拶回りやイベント、テレビ出演などに“引っ張りダコ”となり、体調管理にも支障をきたすことが少なくない。
「自分が変わらないように、冷静に足元を見つめてやっていきます」と綱取りに向けてマイペースを宣言。実際にいくつかのオファーは断わっているようだ。10月5日からは秋巡業が始まった。「自分のやるべきことを1日1日、しっかりやっていく。それだけです。そっとしておいてください(笑)」と全22日の長丁場を自然体で乗り切るつもりだ。


 福岡入りして番付発表以降は毎日、大勢の報道陣が稽古場に押しかけることになる。こうした一挙手一投足が注目される中、プレッシャーを跳ね除け、自分の相撲に徹することができるかどうか。綱取り大関は土俵内の敵だけでなく、土俵外の敵とも戦わなくてはならない。 (写真/PIXTA)