■ぜったい泣かない、男なら!

 

 とある保育園。
 なつくん(仮名)という、正義感の強い男の子がいました。運動神経がよくカレーライスがだいすき。なにより特筆すべきは、その負けん気の強さ。転んでも絶対泣かない、その姿は何度も保育園の先生たちを驚かせてきたのですが……。
 あるとき、お友だちとぶつかって、そのまま仰向けに転んでしまったなつくん。
 先生が「大丈夫? 痛くない?」と聞くと、

「……なにが? そらが きれいだから みようとおもった だけだし……」

 今にも泣き出しそうな震える声でそう答えました。
 
 また別の日にはこんなことも。
 先生がなつくんが見ていない隙を狙って、遊んでいた人形をこっそり動かします。するとなつくん、

「せんせい、うごかした?」

 知らないフリをしている先生は、「ん? 知らないよ」と答え、どう反応するか観察していると……なつくん、移動をした人形に向かって一言。

「おまえ、なにものだ……? わかってるんだぞ……?」

 本当はちょっと怖いのに、頑張って話している姿に先生はついついかわいいと思ってしまったとか。「ごめんね、先生が動かしたんだ」と打ち明けると、ほっとした表情をみせたそうです。

次のページ その発想はなかった。おもわず、あんぐりの一言。