薬を飲むより生活習慣の見直しが先決

 最近は患者やその家族から「薬をたくさん飲むのは心配」という声を聞くようになったと、水野記念病院常務理事の岡田さんは語る。
 では、どうしたら薬を減らせるのか。それは生活習慣を改めることだと岡田さんは断言する。
「海外のデータでは糖尿病の90%、心臓病の80%、大腸がんや脳卒中の70%が生活習慣上の問題で発病していることが明らかになりました。60年ぐらい前、日本人の大腸がんになる割合はアメリカ人の5分の1でしたが、今は同じ割合になっています。これは日本人の生活習慣が大きく変化したからだと考えられています」。
 ところが、生活習慣病の薬は病気を治しているわけではないという。
「例えば血圧や血糖値が高ければ、その数値を下げる薬が処方されます。飲むことによって数値は改善されますが、病気が治ったわけではなく、寿命が延びることもありません。よく生活習慣病の薬は一生飲み続けるものと思っている患者さんがいますが、生活習慣の改善で減薬は十分に可能です」。
 改善に一番効果があるのは運動。有酸素・無酸素運動を問わず1日30分程度。脈拍数が上がるぐらいの運動量で週5日は続けることが理想だ。

イラスト/赤池佳江子


【生活習慣を改善する運動と食事】
●運動
ウォーキングが一般的。ただし、脈拍数が上がるくらいの速さが理想で、目安は1分間の脈拍数が普段より高く、かつ「165-年齢」を超えない程度。60歳なら1分間に105回まで。これを1日30分で週5回行おう。
●食事
魚を多く食べる人はがんや心筋梗塞が少ない。特別に健康食を加えなくとも、和食は炭水化物、たんぱく質、脂質という3大栄養素のバランスが優れている。塩分は控えつつ、普通の和食を普通に食べることが大切。

 


岡田正彦さん

新潟大学名誉教授、水野介護老人保健施設長、水野記念病院常務理事。

新潟大学医学部卒。1990年に同大学教授となり、動脈硬化症、予防医療学などの研究に従事。2012年より現職。『死ぬときに後悔しない医者とクスリの選び方』(アスコム)など著書多数。

※『一個人』2016年11月号