習近平とはどういう人物か

 チャイナリスクとは何か、と聞かれると、経済崩壊、軍事的脅威、社会動乱などの言葉が

頭をよぎるのだが、私はとりあえず、習近平(しゅうきんぺい)政権自身がチャイナリスクではないか、と答えることにしている。というのも、習近平政権は前の二つの政権、江沢民(こうたくみん)、胡錦濤(こきんとう)政権と明らかに質の違う危うさをはらんでいるからだ。江沢民政権、胡錦濤政権時代にはある程度予測できた動きが習近平政権では予測できない。

 では、習近平政権とはどんな政権なのかといえば、これは、私と同じ〝中国専門ジャーナリスト〞でも、人によってずいぶん違う。

 習近平[一九五三~/二〇一三年より第七代中華人民共和国主席、第四代中央軍事委員会主席。太子党]は、非常に優れた為政者で大衆に人気があり、力強いリーダーシップがあり、鄧小平(とうしょうへい)[一九〇四~一九九七/毛沢東(もうたくとう)死後の実質最高指導者として「改革開放」を進める]に次ぐ共産党中興の祖となる、ロシアのプーチン[一九五二~/第四代ロシア連邦大統領。元KGB職員]タイプの実力者と評価する人もいる。

 一方、歴代指導者の中で最弱の〝皇帝〞であり、能力も党内の信頼も低く、党中央においては孤立し軍権も掌握できていない、という人もいる。あるいは、強烈な独裁者であり、第二の毛沢東[一八九三~一九七六/中華人民共和国の初代国家主席。大躍進政策、文化大革命を実行]を目指し、亜文革(プチ文革)を起こそうとしている危険人物という人もいる。

 また、八大元老の一人で開明派政治家の代表でもある習仲勲(しゅうちゅうくん)[一九一三~二〇〇二/習近平国家主席の父。一九八〇~九〇年代に権威を振るった八大元老の一人]の息子であるから、彼も開明派、改革派であるに違いない、今は権力集中をはかり、独裁的に見えるが、それは旧ソ連のゴルバチョフ[一九三一~/ソビエト連邦第八代最高指導者]がペレストロイカ(自由化・民主化)前夜に権力集中・独裁的であったように、大きな改革を断行するための妨害者を排除するためだ、という人もいる。

写真右が習仲勲。共産革命の政治的指導者だった。写真左が子供のころの習近平。
次のページ 小心で用心深く周囲の人間に対する信頼感が薄く、独裁志向の極めて強い人物