習近平国家主席(左)と李克強首相(右)。経済政策で反目しあう二人。

二〇一七年、中国版サブプライム住宅ローン危機

 このままでは中国は経済崩壊に直面する。いや、一度崩壊の痛みに耐えなければ、中国経済の再出発はありえないのだ。本当ならば、もっと早々にバブルを崩壊させなければならなかったし、三中総会[二〇一三年の第三回中央委員会総会]で経済改革を打ち出し、二〇一四年に新常態(ニューノーマル、低成長経済の容認)を宣言した段階では、習近平政権の方針としては「痛みに耐えて改革を進める」覚悟であったのだろう。だが結局、二〇二〇年のGDP倍増・国民所得倍増(二〇一〇年比)の目標を諦めることはできず、七%成長維持を目指し、それを実現するために無茶としかいいようのない大型公共投資、財政出動を続け、相変わらずの高レバレッジで金融市場を回している。

 口で言っていることと実行していることが裏腹なのは、背景に経済政策対立を建前にした権力闘争も関係あろう。その結果、二〇一五年の株高誘導政策は失敗、中国の対GDP比債務残高は二〇一五年末には二五〇%超に拡大し、大手企業、銀行の債務のデフォルト問題が持ち上がるも、デフォルトを容認するか否か政府の姿勢が一貫せず、債券市場は混乱。不動産バブルは歯止めが利かず、二〇一七年は中国版サブプライム住宅ローン危機がささやかれている。

 期待された人民元のSDR[IMFが創設した特別引出権]入りも、人民元への信用拡大につながらず、むしろ今年に入って国際決済通貨としての需要は減退傾向。中国の資本流出は加速し、外国の投資は激減し、輸出は低迷。「走出去」と呼ばれた中国国有企業の資源投資を中心とした対外進出は資源安のあおりを受けて窮している。

 このままでは中国経済はハードランディング必至。いや、実態としてはすでにクラッシュしているのだが、それを社会主義経済特有のからくりと嘘でもって大丈夫なように見せかけてきた。

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