強軍化を進め、軍権を完全に掌握しようとしている習近平国家主席。一方、軍の精鋭化のために30万人を大リストラしたいう。

中国は本当に戦争する気があるのか

 中国は口では「平和の庇護者」を名乗り「平和的話し合いで争議を解決」というものの、これは棍棒(こんぼう)を片手にした話し合いだ。

 ハーグの国際仲裁裁判所で判決が出る前日まで南シナ海で北海・東海・南海の三艦隊合同の大規模実弾演習を行い、そのビデオ映像をネットやテレビで繰り返し流すなどして、国内で「戦意高揚」プロパガンダを展開している。

 解放軍は退役軍人・民兵に対し戦争に備えて元の部隊に戻って海軍演習に参加するよう通達を出しており、中国側は着々と臨戦態勢を整えはじめている。

 こういう中国の「戦争やる気モード」を前にして、米国もフィリピンも、そして国際社会も戦争を回避せねば、と考える。そういう雰囲気の中で中国が多少、柔和な態度で話し合いを切り出せば、中国の思惑どおりの運びで話し合いは進むだろう。

ドゥテルテ大統領は、多額の経済支援を中国から引き出す一方、軍事的協力はないと明言。一方、中国、ロシア、日本との協力関係は続けていきたいが、米国との関係には消極的な姿勢を示すなど、今後の南シナ海をめぐる軍事覇権闘争は複雑さを増している。

 当面の南シナ海での軍事的衝突、軍事的緊張をうまく回避できたという点で、ひょっとするとほっと胸をなでおろす人もいるかもしれないが、これは中国の南シナ海軍事拠点化を阻止することにはならず、これはより大きな危機の始まりともいえるのだ。早ければ年内にも、南シナ海の島々に解放軍のレーダーやミサイルが配備され、南シナ海の中国軍事拠点化が完成する。

次のページ 南シナ海を中国原潜のサンクチュアリとし、米国の影響力を一気に後退させるというのが戦略目標