強軍化を進める習近平国家主席。兵力30万人削減という大リストラを意味するものとは何か?

兵力三〇万人削減という大リストラ

 習近平の軍制改革で、解放軍はどう変わるのか。

 まず軍区制から戦区制に変更した。従来の解放軍は七大軍区制だ。これは旧ソ連の軍管区制度にならったもので、中国が国境から敵に侵略されることを想定して陸軍を七つの地域に密着した軍事組織・軍区に分けている。軍区の司令にその地域の作戦を実施するうえでのかなり強固な指揮権がある。地域密着型のきわめて政治性の強い軍組織であることから、利権の温床ともなりやすく、軍閥化もしやすい。軍内派閥もだいたいこの軍区の出身によって形成されてきた。一九四九年に軍区制が導入されて以来、統廃合はあっても軍区制自体が変えられることはなかった。

 これが新たな五大戦区制(戦略区制)に切り替わる。これは米軍の統合軍がモデルのようで、戦略・作戦目的ごとに陸、海、空軍の統合軍が設置され、指揮系統も統合作戦指揮系統が置かれる。中国が今現在想定する戦争は国境から外敵の侵略に対応するものではすでになく、南シナ海・東シナ海での空海軍やミサイル部隊を主力とした紛争だ。あるいはテロや内乱対策。そう考えると陸軍の地域密着型軍区の強い指揮権は意味をなさないうえ、その強い政治性は中央にとって脅威でしかない。

 さらに習近平は、従来の解放軍の実権を握っていた四大総部[総参謀部、総政治部、総装備部、総後勤部]を解体し、具体的な職能を持った一五部局[七部・三委員会・五直属機関]に再編成した。それらを中央軍事委総参謀部の直属機関とする。つまり、かなり具体的な軍の運営を、習近平をトップとする中央軍事委が掌握するようにした。

 中央軍事委統合作戦指揮部の長コマンダーインチーフの肩書も習近平のものとなった。これは、平時から戦時体制に変わる準備ともいえる。習近平の権限の中には仮想敵国の想定や戦術戦略研究の方針も含まれるという。旧四大総部の長の職位は、習近平の決定に従って実務に専念する職能機関に格下げになる。

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