「ブラック企業」という言葉が頻繁に使われるようになって久しい時分。厳しい労働環境に置かれたとき、労働者は、会社から逃げるか、あるいは無理にでも会社にしがみつくか、その二択からひとつを選んでしまいがちでした。
しかし実は、そこには第三の選択肢が存在するのです。それは、「会社と戦う」こと――。
今回は実際に「ブラック企業」を訴え、裁判に勝利した経歴を持つ、工藤ダイキさんにご寄稿いただきました。


 毎月100時間を超えるサービス残業、年間休日80日、年収270万円、会社支給の営業携帯は30%自己負担、「顔がキモイから会社に居るな」ということで駐車場の草むしり、懲戒解雇か自主退職か選ばなかった罰としてトイレ掃除、「怒るのと怒らないの、どっちが大変か分かる?」との理由から指導に暴力OK、有給なんて夢のまた夢、3年以内の離職率70%……。

 もしもブラック企業検定があるとしたら、1級 or 準1級が狙えるのではないでしょうか? そんな素敵な会社に、身分不相応ながら新卒入社してしまった筆者は、成績不良&勤務態度不良ということで、入社2年目の春に解雇されてしまいました。解雇通知書を渡されたときは涙が止まりませんでした。理由はシンプル。花粉症が原因です。
 解雇通知書は屋外で渡されました。一刻も早く屋内へ避難しなければということで、僕はペラペラのA4用紙と共に、丸の内にある弁護士事務所を目指しました。気分は高揚していました。なぜなら弁護士さんが美人だからです。なんだか萌えてきたぜ! 間違えた! 燃えてきたぜ! ということで、解雇無効+未払い残業代+パワハラ慰謝料=トータル1000万円を狙った裁判の始まりです。

 

 ブラック企業が社会問題としてクローズアップされる中、「ブラック労働者」という新たな社会問題が生まれつつあることに、多くの国民は無関心です。会社の不正を逆利用して、高額な和解金を狙っていく……はい。僕のことです。ICレコーダーで日常会話を全て録音し、自宅に会社のコピーを作る勢いで会社の資料を集め、コソコソと戦う準備を整える――。
 我ながら性格曲がってるな~と嫌になりますが、まあ髪の毛も天然パーマなわけですし、性格の捻じれは毛根からということで、自分自身を正当化しながら、僕は会社に噛みつく機会をうかがっていました。ここだけの話、解雇されたときは「ラッキー☆ごちそうさまです☆」と思ってしまいました。だって解雇された方が慰謝料UPできます。解雇は密の味です。