トランプ VS クリントン、第三回の公開討論会も終了。投票日である11月8日も目前のアメリカ大統領選挙。アメリカの世論調査では、クリントンの支持率がトランプをうわまわったといわれています。メディアの報道では、トランプ現象の終焉などの記事もちらほら。日本にとって、アメリカ大統領が誰になるのかは国益を大きく左右する重要事項です。しかし、そもそも日本人はアメリカ合衆国の実像を知っているのでしょうか? 
大きな勘違いアメリカ陰謀論などを正しながら、日米史を振り返る、絶賛発売中の『大間違いのアメリカ合衆国』。中でもアメリカ大統領選とは一体どういう選挙なのか?誰でも理解できるアメリカ大統領選挙をシリーズでご紹介します。

プーチンにすら皮肉られるアメリカ大統領選挙

 アメリカ合衆国の州ごとの選挙は二月にまず、アイオワ州で、党員集会という政党の大統領候補を決定するための地区レベルによる党員の会議において、選挙をやることから始まります。

 さらに、ニューハンプシャー州は予備選挙の皮きりで、無党派層も選挙人登録がしてあれば、共和党、民主党のいずれかの予備選に投票できるので、世論の動向を見るのに重要視されています。

 ここで説明しておくと、この予備選挙は、間接選挙です。

 有権者は大統領候補者に直接投票するのではなく、選挙前に投票する大統領候補を宣言している代議員に投票します。

 代議員は各候補の支持者、支援団体の代表者などからなっていて、代議員の人数は人口に応じて、各州に割り当てられています。

 一応、それぞれの代議員は自由投票という形になっていますが、公約をしているので、選挙結果に影響が出たような裏切り投票をした人は過去一度もいません。

 これは、イギリス的間接民主主義を導入しているのと、建国当初のアメリカが貴族国家だったことの名残です。

 アメリカが建国当初から民主主義国と思っている人も多いようですが、共和国というのは王様がいない貴族の楽園のことなのです。

 だから人民の直接投票ではなく、イギリス的な間接投票なのです。

 このややこしさに加えて、州ごとに選挙制度が違ったり、共和党と民主党でもそれぞれ投票のルールが違ったりしているので、選挙結果に大きな影響を及ぼしたケースもあります。 

 例を挙げると、二〇〇〇年のジョージ・ブッシュ(二代目)対アル・ゴアの大統領選挙のとき、総得票数ではゴアの方が多いのに、ブッシュの方が州ごとに獲得した代議員の数では勝っていたので、代議員数の多い最後のフロリダ州の有効票までもつれ、ねじれ現象が起こりました。

 結局、両方とも裁判に訴えて、最後は最高裁判所(連邦最高裁)の判決で決着をつけます。

第43代 ジョージ・W・ブッシュ

 ゴアが「フロリダ州の開票に不正がある」と訴えて州最高裁に認めさせたらブッシュも連邦最高裁に訴え、「フロリダ州の判決は違憲である」との判決を引き出し、勝利したという事件です。

 このときは、ロシアのプーチンにまで「なんで直接選挙でやらないんだ」と皮肉を言われてしまう始末でした。

 アメリカの間接選挙方式には不正の噂が絶えません。

 ケネディ対ニクソンのときも不正選挙の噂がひどかったのです。

 ニクソンは冷戦真っ只中に民主主義のチャンピオンの国で不正が行われたということが知れ渡ったら国際情勢が変化してしまうと言って、泣き寝入りしています。

大間違いのアメリカ合衆国』より 

明日は、「田中角栄などクリーンな政治家ー金権政治の質が違うアメリカ」です。