トランプ VS クリントン、第三回の公開討論会も終了。投票日である11月8日も目前のアメリカ大統領選挙。アメリカの世論調査では、クリントンの支持率がトランプをうわまわったといわれています。メディアの報道では、トランプ現象の終焉などの記事もちらほら。日本にとって、アメリカ大統領が誰になるのかは国益を大きく左右する重要事項です。しかし、そもそも日本人はアメリカ合衆国の実像を知っているのでしょうか? 
大きな勘違いアメリカ陰謀論などを正しながら、日米史を振り返る、絶賛発売中の『大間違いのアメリカ合衆国』。中でもアメリカ大統領選とは一体どういう選挙なのか?誰でも理解できるアメリカ大統領選挙をシリーズでご紹介します。

政治献金の流れはガラス張り、ただ癒着が強固すぎて、対抗馬の立ちようがない!?

 アメリカの選挙は政治献金に関するルールも日本と違うので、「全ての議員が合法的に★★★★」です。(★はお金にまつわる香ばしい人物名を入れてお楽しみ下さい)

 なにせ、敵国から政治献金を受け取っても、渡した人間がロビイスト登録していれば合法というロビイスト法が存在する国なのですから。

 確かにアメリカの政治献金の流れはガラス張りで透明ですが、癒着があまりにも強固すぎて、対抗馬の立ちようがないのです。

 だから選挙民は、「あ、実力政治家に大企業がロビイストを使って多額な政治献金をしているな」というのはガラス張りで見え見えなのですが、特に何をしようとする気力が起きるでもなく、なのです。

 毎回、共和・民主両党の有力候補には使いきれないぐらいの政治資金が集まります。

 資本主義国の選挙というのはお金を集められて当然なのです。お金が集まれば、必ず勝てるというわけではありませんが、お金を集められない候補は負けます。

 日本では私が尊敬する大正時代の政治学者の吉野作造(よしのさくぞう)先生も、「選挙を全国展開にして選挙区を広くすれば、金権政治はなくなる」と、珍しく妄言を吐いていました。

 田中角栄という人が昭和五三年の自民党総裁選挙で、ローラー作戦というものを展開し、日本全国を買収したのを是非、ご覧になっていただきたかった。

 吉野先生が生前に蛇蝎(だかつ)の如く攻撃していた原敬(はらたかし)や田中義一の何十倍も批判したに違いありません。

 しかし、そんな田中角栄もアメリカでは金権政治家の部類に入りません。

 選挙にはお金がかかりますから、金権政治がなくなることはなく、金権政治の質が変わるだけだということも理解しておくと良いでしょう。

 アメリカの場合、土地が広いので、選挙運動が盛り上がるかどうかはテレビCMにかかっています。

 ドブ板で買収して歩くよりも、ここにお金をかけます。

田中角栄とニクソン大統領

 アメリカでは共和党と民主党の二大政党からでなくても、独立候補として立候補することは可能です。

 ただしその場合、州ごとに一定数の署名を集められないと、投票用紙に名前が載りません。

 当然、代議員の票も得ることはできません。恐ろしく二大政党に有利な制度になっており、いまだかつて、二大政党以外から全米五十州で出馬できた人はいません。

大間違いのアメリカ合衆国』より 

明日は、「大統領選挙は室町幕府と石山本願寺がハイテク兵器を使って戦っているようなもの」です。