第2回
『モンスターハンター』シリーズpart②
(2004/カプコン)

 納期を守る──。商品の発売、サービスの提供開始に限らず、ビジネスの現場において、あらゆる場面で必要に迫られる「納期」。取引先や顧客との信頼関係を構築するためにも欠かせない要素だが、納期に伴う悩みのひとつは「妥協点」だ。「納期とクオリティ」のせめぎ合いや落とし所は、制作現場の永遠のテーマと言える。
 しかし、6カ月という発売延期を経て発売されたニンテンドー3DSソフト『モンスターハンター4』(カプコン/2013年9月発売)は、出荷本数410万本を突破する大ヒットを記録している。こうした例もあるのだから一筋縄ではいかない。
 ゲーム業界において、ビッグタイトルの発売延期は決して珍しいことではない。果たして「納期とクオリティの狭間」には、どのような思惑が潜むのか? 同社・辻本良三氏(『モンスターハンター』シリーズプロデューサー=写真・右)と藤岡要氏(同シリーズ世界観ディレクター=写真・左)に話を尋ねた。


 ◆制作に追われた『2』、優等生すぎた『3』

『モンスターハンター4』の発売延期は、本作単体のみで語ることはできない。その背景には『モンスターハンター』シリーズ制作の歴史が大きく関わっている。

『モンスターハンター2』では、「太刀」「狩猟笛」「弓」などの武器や「牙獣種」「甲殻種」などのモンスター、さらに昼夜・季節の概念も取り入れられた。

藤岡D 進行の大切さを実感したのは『モンスターハンター2(ドス)』(2006年2月発売)のときです。1作目でひな形ができたので、『2』では実装できなかったアイデアを盛り込んだゲームにしようと臨みました。でも、当時の僕はディレクターとして未熟で、スケジュール管理も甘かった。

 発売延期は回避できたが、結果としては後悔が残った。可能な限り実装したい要素を入れたが、その分、ユーザーへのプロモーションが疎かになったのだ。

藤岡D ゲームは、自分たちが作りたいものをどうユーザーに伝えるかが大切。実装できても、それらがうまくユーザーに伝わるように調整することも必要なのですが、『2』では制作に追われてその期間を用意できなかったのです。

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