劉鶴
人民日報社説の〝李克強たたき〟

 中国経済失策の責任問題で、もともと習近平と李克強の間にあった対立はいっそう先鋭化し、2016年5月にはピークを迎えた。その一つの証左が2016年5月9日の人民日報1面に掲載された〝権威人士〞記事の問題だろう。

 5月9日付人民日報で、〝権威人士〞を名乗る匿名の幹部がインタビュー記事「第1四半期後の経済の大勢を問う」は、明らかに李克強の経済政策を批判していた。

 この論評は今後の中国経済について「相対的に予想どおりであり、一部予想よりも少し良い部分もあるが、新たな問題が出てくることも予想され、簡単に出だし順調だとか、春の兆し、といった安易なことを言わないほうがいい」「V字形の回復はもとよりU字形に回復する可能性もなく、L字形の流れをたどる。L字形は1、2年で終わるものではない」と断言し、「金融緩和で経済成長の加速を促し、負債比率を下げるという幻想を完全に捨て去る必要がある」と、現在行われている経済政策を批判していた。

 成長目標を背負わされた李克強は4月8日、シュタインマイヤー独外相と会談したさいに「第1四半期の経済指標は一段の改善を示唆した」と発言していたが、この権威人士は、明らかに李克強の姿勢を否定している。

 さらに、マクロ経済については「供給サイドの主要矛盾解消、供給サイドの構造改革が必須。投資の拡大をやり過ぎず、適度にし、まな板から包丁が飛び出るようなことであってはならない」「天まで届くほど伸びる枝はない。高レバレッジは必ずハイリスクを伴う。システマティックな金融危機をうまくコントロールできなければ、数字の上で経済成長を導くことができても、国民の貯蓄を台無しにしてしまう」と語っている。

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