11月6日放送の大河ドラマ『真田丸』にていよいよ築城される「真田丸」。その建築方法や役割を、戦国軍事考証を担当する西股総生さんに解説していただきました。

歴史上、最もやっかいな出丸だった真田丸

 出丸とは城から飛び出した場所や、城から少し離れた場所につくった、独立した曲輪のこと。出曲輪ともいう。出丸をつくるのには、次のようなわけがある。

①まわりの地形がじゃまになって、城からは見えにくい方向がある。
②敵の不意打ち(奇襲)を防ぎたい。
③城から離れた場所で一度、敵を疲れさせたい。

 このうち、①は見張り場のようなものだ。高い場所にある山城は遠くまで見晴らしがきく。ただし、守りやすい山を選んで城を築いた結果、敵の攻め寄せてくる方向が見えにくくなったり、麓から登ってくる道が死角になってしまう場合がある。まわりに伸びている尾根が、じゃまになるのだ。

 こんな時は、見張り用に①タイプの出丸がほしくなる。このタイプの出丸は、あまり大きくつくる必要はない。敵が攻め寄せてくるのを見つけて、城に知らせたら役目は終わりだから、見張りの兵は、とっとと城に引きあげる。

 備えも、少人数での不意打ち(夜討ちなど)を防げるくらいで充分だ。あまりガッチリと防備をかためてしまうと、不意打ちを食らった時に、かえって逃げ道がなくなってしまう。だから、城を歩いていて、小さくて備えのあまりかたくない出丸を見つけたら、①の可能性が高い。こんな時は、まわりの地形をよく観察してみよう。

 まず、出丸に立ってみて、どの方向が見えるようになるのか、確かめてみる。
そして、城の主郭に立った時、どの方角がよく見えて、どの方角が死角になるの
か確かめると面白い。

 これに対し、②と③は、考え方としては外郭と同じだ。出丸をつくっておけば、攻める側はまず出丸を攻めなくてはならないから、城内で守備をととのえるための時間を稼げる。

 人数が足りなくて大きな外郭をつくっても守りきれない場合や、地形の関係で大きな外郭をつくりにくい場合など、出丸があれば、敵の攻撃を一旦そこで食いとめることができる。また、駆けつけてきた応援部隊が出丸をつくることもある。

 もし、攻める側が、出丸をスルーしていきなり城に押し寄せれば、出丸との間で挟み撃ちになるから、最初に出丸を落としてしまわなければならない。

 ②③タイプの出丸は、自力で敵の攻撃を防がなくてはならないから、大きくて堀や土塁もしっかりつくることになる。こうした出丸は、攻める側にとっては面倒な存在だ。