多重の社会的責任が脳内バランスを狂わせる

 

 中年危機。それは中高年におけるうつ病や不安症を表した言葉である。
 厚生労働省の2014年10月統計によれば、うつ病など「気分障害」の患者は推計111万6千人、年代別では40代が最多で60代、50代と続く。また自殺者数も年間2万人以上で、ワースト3を40〜60代が占める。

 背景にあるのは、過度のストレスと喪失感。中高年は職場、家庭、地域とあらゆる場面で責任を問われ、人間関係も複雑化する。教育や住宅、介護といった経済的負担も大きい中、老後への不安も高まる時期である。加えて衰えや喪失感を味わう出来事も増える。

 通常、脳はストレスや心身の疲労を感じた時、対抗本能として脳幹から感情を高ぶらせる物質を出す。同時にそれらを適度に抑え、感情や自律神経のバランスを保つセロトニンも分泌する。この幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンが、現代人は不足しているという。セロトニンを増やして穏やかな心(脳)を保ちたいなら、おすすめは朝日を浴びながらのウォーキングだ。

ミドルエイジ・クライシス治療最前線
●ベンラファキシン塩酸塩
 約90カ国で使用される抗うつ薬。昨年日本も承認。
●TMS治療(磁気刺激治療)
 磁気刺激によるうつ治療
●ストレスチェック
 法改正で、従業員のストレス調査が企業の義務に。

取材・文/吉井利恵 イラスト/中村純司