TPP上陸に備えて、改めて問われる農業問題。『「食」の問題は、効率を求める経済問題と
絶対に一緒に考えてはいけない』────農業問題のエキスパートが訴える『地産地消』の生き方とは。 
 

究極の“食の国際化”が現在進行中の「TPP」であり、究極の“食の地域化”が「地産地消」です。平和で豊かな国づくりのためには、「地産地消」が絶対条件です。 

 
 
 そう訴えるのは、農業問題のエキスパート島﨑治道氏。氏は戦争体験を基に農業問題と深くかかわり、「地産地消」を始め、「産地直送」などの名付け親であり、今ではよく知られる「道の駅」づくりにも尽力してきた人物だ。
 ベスト新書『地産地消の生き方』(好評発売中/定価880円<税込>)で島﨑氏が訴える論点は、次の6章からなる。

 第1章 「食の国際化」は戦争の火種
 第2章 生存率を示す食料自給率 
 第3章 「食育」『地産地消』の理念
 第4章 「食育」のあるべき姿
 第5章『地産地消』の生き方 
 第6章 豊かな暮らしのために

 

 

第1章では、世の中の紛争や戦争は、実はすべて「食の問題」が関係している、と述べ、食料輸入国の危険性を諸外国の例を挙げて示している。
 一例では、「アラブの春」は、ロシアやウクライナでの干ばつが原因で小麦などの穀物類の生産量が減ったことが原因。主食のパンの値段が高騰し、一般市民が買える値段でなくなったことで、それまでの国民の不満が爆発した。
 食料を輸入に頼る国では、常にこうした危険を孕んでいる。そして、「食の国際化」が国内の経済格差を広げるのみならず、国家間の経済格差も広げていく危険を訴えている。
 確かに輸出国に何か異常事態が起これば自国を優先するのは当たり前の話であり、経済的な窮地に陥れば、輸出物の値段を上げてくることも十分に考えられる。
 果たして、アラブの春は日本にとって対岸の火事と言うことができるか?
 
 TPP上陸を前にして、もっといろいろな角度からの論議が必要であることを教えてくれる一冊だ。 

 ◆島﨑治道(しまざき はるみち)
1939年静岡県生まれ。法政大学社会学部卒業。「付加価値農業経営研究所」所長(1965年~)、90年から2001年まで、埼玉県「21世紀むらづくり塾」アドバイザーを務める。法政大学社会学部兼任講師(「農業・食料論」担当、2002年~10年)。法政大学大学院「食と農」研究所・前副所長特任研究員(~2013年)。著書に『『食料自給率100%を目ざさない国に未来はない』(集英社新書)がある。