スターウォーズでハン・ソロが、ジャバ・ザ・ハットに捕らわれて冷凍保存され、置物になったシーンがある。生命維持装置をつけた近未来のSFシーンではあるが、人は冷凍保存をすることで、時間の経過を止めて生きながらえることができるという願望が描かれているのではないだろうか。ところが技術や医学の進化で、この冷凍保存技術がすごいことになっているのだ。

 アメリカやロシアには現実にそれを行っている団体があり、現代医学では治療できずに亡くなった人を保存し、将来生き返らせることができるようになったときのために保存をしているというのだ。もはや「生き返り」はひとつの選択になろうとしているというのだから驚きだ。この冷凍保存は学術的にいうと低温学の分野になる。クライオジェニクスと呼ばれており、冷凍技術を駆使してさまざまな開発をする研究で、技術的にも科学的にも成り立っているのだ。たとえば不妊治療でも知られているように、精子や卵子ではすでに実用化されている。今の時点では、タンパク質レベルでは可能なことはわかっているのだ。では、生命を冷凍させることができるのかといえば人で考えた場合、生きたまま冷凍保存することは違法になるため、現段階では難しい。映画のように、不治の病に冒されたから冷凍保存して、治療方法ができた未来に解凍する、ということはできないのだ。そのため、病気で亡くなったあと、その体を冷凍保存するということが実際に行なわれている。
 これを実施しているのは、アメリカにあるアルコー延命財団とクライオニクス研究所、そしてロシアにあるクリオルス社だ。人体を冷凍保存するためには、簡単にいうと遺体の循環器系に特殊な化学物質(抗凍結剤)を注入する。処置をした人体を、マイナス196度まで徐々に温度を下げ、それから大型魔法瓶のようなカプセル・デュワーに移す。マイナス196度を維持するために使われているのは、ターミネーターでもおなじみの液体窒素。そして、この方法で保存すれば、人体は数百年に亘ってほぼ変わることはないといわれる。ただし、難しいのは解凍するときだという。たんぱく質レベルでの冷凍は確立されてはいるが、精子や卵子でも保存前と比べると活動状況は約50%。しかし人には臓器があり、冷凍時に壊れてしまったその細胞を復元することは現段階では不可能といわれている。また、法律、医学、宗教、倫理などさまざまな分野からの批判も多く、論争が巻き起こされているのも事実だ。

 科学や医学の技術進化には目を見張るものがある。今はまだ、多くの障害があるには違いないのだが、もしかすると近い将来、こうした技術が飛躍的な進化を遂げ、人が冷凍保存から蘇るようになるのかもしれない。近未来を描いたSFの世界というのは、人の願望が成し遂げる現実化された世界となる可能性は否定できないのだ。

近未来SFの“コールドスリープ”が現実に ※画像はイメージです