今年、一部の間で2冊の本が話題になりました。藤沢数希氏の『ぼくは愛を証明しようと思う。』と、鶉まどか氏の『岡田斗司夫の愛人になった彼女とならなかった私 サークルクラッシャーの恋愛論』。前者には女性にモテるためのテクニックが、後者の一部には男性にモテるためのテクニックが綴られています。
相反するこの2冊ですが、今回、鶉まどか氏に、「恋愛工学」に触れたうえでの新たな恋愛論についてご寄稿いただきました。

突然ですが、クイズです。以下のAさんとBさん、2人のうち1人は「彼女いない歴=年齢」の童貞です。さて、どちらが童貞でしょう? 

Aさん:東京都出身、在住。現在30歳。中学受験を経て、進学校として有名な中高一貫の男子校へ。偏差値の高い、公立大学の理系学部に進み、院を卒業後、東証一部メーカーの研究職として勤務。年収600万。

Bさん:山口県出身、在住。現在30歳。地元の工業系の高校を卒業後、地元の大手企業の工場に勤務。年収300万。

「学歴で全てが決まってしまう!これが格差だ!」「そもそも都心部と地方では給料形態が違う!地方には仕事がない!」という声も聞こえてきそうなこの2例。

わたしの回答は、『Bさん』 です。収入が少なかろうが、学歴が低かろうが、元サークルクラッシャーのわたしの目を通して見た世界では、「Bさん」の方が恋愛しやすいのです。

「地雷」に気づけないAさんたち

わたしはかつて、『サークルクラッシャー』でした。

サークルクラッシャーとは、定義はまだ曖昧なのですが、男性比率の高いサークル(例えばアニメやゲームの同好会など)に所属し、紅一点として複数人のメンバーに気を持たせるような行為をすることで、サークルを解散に導く存在を指します。

大学時代のわたしは、まるで仕事のように、SNSを通じてサークルを見つけ、飲み会に顔を出し、毎日違う人とのデートを重ね、2年間で5箇所のサークルを解散させるに至りました。

その結果、「クラッシャられ」と呼ばれるサークルクラッシャーに引っかかる人たちに共通して抱いたのは、非常に頭が良い、というよりも「偏差値が高い」という印象です。

先ほど事例に挙げたAさんのように、10代を勉強に捧げ、男性比率の高い学部・職場に籍を置いてしまうと、女の子と触れ合う機会が少ないまま20代も後半に差し掛かってしまいます。

「鶉さんのメアドが、この携帯唯一の女の子の連絡先だよ」、「女の子とふたりきりで出掛けたのはこれが初めて」、「俺の名前を女の子が呼んでくれる日が来るとは思ってなかった」、全て、サークルクラッシャー時代、実際に言われた言葉です。

そもそも、多少恋愛経験があったり、女の子と接触する機会があったりする男性ならば、すぐに気がつくはずなのです。複数人の男に対してボディタッチをしたり、デートに誘ったり、「●●くん大好き!」と何の躊躇いもなく言ったりする女は、確実に地雷だと。しかし、甘い言葉を絶えず振りまく人は危険だ、という判断ができないまま、ずぶずぶと底なし沼にはまってしまいます。

恋愛上手な、Bさんたち

一方でBさんのスペックは、いわゆる「マイルドヤンキー」です。地方出身でそのまま土地を離れず、幼なじみたちと成長しても仲良くし続ける。EXILEやイオン、ミニバンなど、彼らを象徴するアイテムはもはや日本の消費の要となっているのではないでしょうか。

地方の過疎化は、年々進んでいます。先日山口県内の、新幹線の止まるとある駅に行ったとき、シャッターの目立つ駅前の飲屋街ですれ違った人数は、たった3人。しかもその日三連休の中日、夜7時。新宿東口だったら、身動きするのも難しいような時間帯です。

しかしそこで生活している20代の若者たちは、ごく当たり前に恋愛をし、サクっと結婚します。彼らには、所属しているコミュニティがあります。若者が少ない分、コミュニティは常に関係者を取り込んで膨らんでゆきます。例えば○○の妹、××の後輩、△△の友達……そのなかには当然男女どちらも含まれるので、自然と異性とコミュニケーションを取る機会が生まれます。

「マイルドヤンキー」と呼ばれる彼らと話したとき、過去一度も彼氏・彼女がいたことがないという人がその集団のなかでは0人でした。そして趣味がアニメやゲームという人も、野球観戦という人も、分け隔てなく仲良くしており「仲間意識」の高さにおののきます。

「仲間だから」女の子に対しては、美人だろうがブスだろうが、女の子というだけで皆当たり前に優しくするし、BBQ、お花見、飲み会、と皆で集まるイベントが毎日のように起こる。合コン、という名前がついてなくとも、イベントを重ねる間に自然とカップルが成立し、結婚に至る。

恋愛における地方の強みは、この努力せずに繋がれる『コミュニティ』です。