大坂の冬の陣で、真田幸村が圧勝。大河ドラマ『真田丸』も佳境を迎えている。そんな中、名場面のひとつとして視聴者に今も反響が大きく残っているのが、親子が敵味方に分かれて戦わなければいけなくなった「犬伏の別れ」だ。真田家の嫡男・信之を演じる大泉洋が撮影の舞台裏を語る。

このシーンの脚本を読んだとき、どんな印象を持ちましたか。

「来たって感じがしましたね。それまでの信幸は、ずっと父上に振り回されっぱなしで、大事なところでは蚊帳の外に置かれていましたから(笑)。信之が信繁(幸村)に“豊臣が勝ったときは、お前はあらゆる手を使って俺を助けよ。そして徳川が勝ったならば、俺はどんな手を使ってでもお前と父上を助けてみせる”というセリフはグッときましたね。信之、頑張ってるって」

 ラストシーンでは昌幸、信繁と3人で酒を酌み交わしました。

「このシーンで“もう(3人の)共演がないんだよね”と、撮影前からどこか寂しさがありました。和気あいあいと酒を酌み交わすシーンで、演じている僕らも非常に楽しかったのですが、カットの声がかからない。そこからお互いの無茶ぶりが始まって(笑)。直前に『史記』に出てくる韓信という男の話をしているので、堺(雅人)さんが“兄上、もう少し韓信のお話を聞きたいです”って。僕は何の知識もないからアドリブで、“じゃあ次は劇団四季の話をしようか”と返したり。草刈(正雄)さんは“なかなか感心な男だ、ワハハ”って親父ギャグを (笑)」

 敵味方に分かれた真田家。徳川方についた信之は、関ヶ原合戦後、誓いの言葉通り、徳川家康に父と弟の助命を嘆願する。

家康から名前を変えろといわれたときの心境とは。

「このシーンは台本読んだ当初から思いいれが強かったですね。父上からもらって大事にしていた“幸”の字を捨てろと命じられるのは、非常に屈辱的な思いを感じました。でも、どんなことをしても真田家を守り抜くという決意がここでより強くなった気がします。信之さんは大変だったと思いますよ。父と弟が徳川にバンバン無茶するから(笑)。その間に挟まれてね」

 今回はコミカルな演技はなく、新たな一面を表現と評判です。

「以前、三谷さんから面白いセリフを言う前に鼻の穴がでかくなるので気を付けて、まじめにやってくださいって言われまして(笑)。そうは言ってもねえ、信之さんは面白いセリフがあるんですよ。だから面白いシーンを面白く演じすぎないようにという思いでやっています。鼻の穴は癖だから訓練しきれないですけど」