野菜の高騰を理由に学校給食が中止されるニュースが相次いでいる。この学校給食こそが、海外からの輸入食料で汚染されていることを危惧し、長年に渡り『地産地消』を提言していたのが、『「地産地消」の生き方』の著者、島﨑治道氏(元法政大学大学院「食と農」研究所副所長)だ。
 今回は、学校給食の前提になる教育方針である「食育」ついて解説してもらった。
 
 

◆食育とは?
『「教育が国の未来を決める」と言って、異議を唱える人はいないでしょう。「食育」とは、農と食の教育のことであり、『地産地消』<地域で生産する食料は地域で消費する>の理念です。
 国民の食生活をめぐって、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志向、食の安全、食の海外への依存、伝統的食文化の喪失などの様々な問題が生じています。
 そこで国は、「食育」を推進することを緊急課題として、2005年に『食育基本法』を成立させ、実施されました。
「食育」が、義務教育に導入されたのは知育・体育・徳育だけでは人間形成上、不足しているという理由でした。
 しかし、「食育」は必修科目でも、選択科目でもありません。単元学習の関連学習として導入しただけの、位置づけが不明確な教科となっています。
 どうして国は「食育」を疎かにしてきたのかと言えば、「『食』は、個人の問題として、各自が自然に身につけていくもの」という考え方が、国の施策の根底にあるからです。
 確かに、食料を自給していた時代は、そのような考え方で良かったのですが、日本の社会全体が構造的に変動した現在では、農と食の問題を個人で解決することは、もはや不可能です。

 「食」の混乱は「食育」に先行して、すでに1954年に始まっていたのです。それは、当時の文部省(現・文科省)が『学校給食法』を制定し、主食を「ごはん」から「パン」へ替えたことに端を発しています。
 現在の文科省が指導している「食育」は、健康なからだづくりのために、食品売場にある数え切れない食べ物の中から『賢い「選択」をしましょう』という点に主眼がおかれています。
 しかし、食品の大半は「選択」の難しい輸入食品です。