わが国の総理大臣は、実は政治思想の基本の「き」すらも知らずに政治を行っているようなのだ…

「議会主義とは何か」を知っているのか知らないのか。

わが国の総理大臣安倍晋三は一院制の導入をもくろんだ発言を盛んにしていた。

それがこれだ。

 

一院制について 二〇一一年二月八日 テレビ番組に

「有権者は議会も行政も非生産的だと思っている。

衆院と参院を一緒にして一院制にすべきだ。」

 

 安倍は改憲により一院制の導入をもくろんでいる。二〇一一年二月八日、安倍はテレビ番組で一院制について「憲法は改正しないといけないが、そういう大枠について思い切ったことをやっていくということを示す必要がある」と述べた。

 安倍の正体を示す貴重な発言である。

「人間理性に懐疑的である」のが保守である。人間の判断は万能ではない。だから、慎重にものごとを決める仕組みが必要になる。

 モンテスキューもジョン・アクトン(一八三四~一九〇二年)もエドマンド・バーク(一七二九~九七年)も、一院制が地獄への最短の道であることを指摘した。

ジョン・アクトン。イギリスの歴史家、思想家、政治家。

 権力は必ず暴走する。だから、それを制御するシステムが必要になる。

 それが議会主義であり、二院制であり、三権分立である。

 モンテスキューは言う。

「権力をもつ者はすべて、それを濫用する傾向があることは、永遠の体験である。彼は限界を見いだすところまで進む。だれが知ろう、徳性さえもが限界を必要とするのだ。人が権力を濫用しえないためには、事物の配列によって、権力が権力を阻止するのでなければならぬ」(『法の精神』)

 ついでにバークの言葉も引用しておく。

「人間の本性はこみいっているし、社会のものごとは、可能なかぎり最大の複雑さをもっている。だから、権力の単純な配置や方向づけは、どんなものでも、人間の本質にも人間の関係することがらの性質にも適合しえない。あるあたらしい政治制度において、装置の単純さがめざされ、ほこられるのをきくとき、私はただちに、その製作者たちが、自分のしごとについてまったく無知であるか、自分の義務についてまったく怠慢であるのだときめてしまう。単純な政府は、いくらよくいうとしても、根本的に欠陥がある」(『フランス革命についての省察ほか』)。

(※話題の新刊『安倍でもわかる政治思想入門』本文一部抜粋)

著者略歴

適菜 収(てきな・おさむ)

1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(以上、講談社)、『死ぬ前に後悔しない読書術』(KKベストセラーズ)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)など著書多数。安倍晋三の正体を暴いた渾身の最新刊『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ)が全国書店、Amazonにて好評発売中。