「改革する」と絶叫し続けた、わが国の総理大臣安倍晋三。配偶者控除の見直しもいよいよ検討段階に入った。本当に生活者のためになるのか?

安倍でもわかる「改革」のお話

 かつての自民党には少数ながらも保守的な政治家が在籍していました。自民党は発足当初から、近代的理念を掲げる革新政党でしたが、「真っ当な日本人」を切り捨てない層の厚さがあった。

 いわゆる五五年体制下では、党内における派閥間の抗争という形で議会政治が成り立っていましたが、大衆社会化および政治制度の改悪により、自民党から保守的要素は切り捨てられていき、プレーンな都市政党になってしまった。

 自民党の支持基盤が変わったのだから、安倍が農協などの中間組織に攻撃を仕掛けたり、配偶者控除廃止の検討により家族制度の解体を図ろうとするのも当然です。

 二〇一五年二月一二日、安倍は施政方針演説で「農政の大改革は待ったなし」「新しい日本農業の姿を描いていく」などと述べ、農協を一般社団法人に移行させる方針を打ち出しました。

 また、「改革」という言葉を三六回も使用。

 そこまで「改革」しなければならないほど、日本はダメな国なのでしょうか?

 むしろ、歴史や伝統の中に「守るべきもの」の価値を見いだすのが普通の人間でしょう。

 バカは改革のリスクがわからない。

 小泉純一郎は二〇〇五年の郵政選挙において、「改革なくして成長なし」「聖域なき構造改革」といったワンフレーズ・ポリティクスをぶつけ、「改革派か抵抗勢力か」と極度に問題を単純化することで、普段モノを考えていない人々の票を集めました。

 小泉は靖国神社を利用し、大衆のナショナリズムを煽ることで勢力を伸ばしたが、やったのは国の破壊、日本固有のシステムをアメリカに合わせることにすぎなかった。

 安倍を支持している連中も、基本的には改革バカです。

 彼らは、かつての戦後民主主義者とメンタリティーは変わらない。

 歴史によって培われてきた「良識」「日常生活のしきたり」「中間の知」「教養」を軽視するので、近代イデオロギーに容易に接合されてしまう。

 なにを変えるのかは別として、改革、変革、革新、革命、維新といったキーワードに根無し草のように流されていく。こうした人々が、現在、国家・社会の解体を急速に進めています。

(※話題の新刊『安倍でもわかる政治思想入門』本文一部抜粋)

 

著者略歴

適菜 収(てきな・おさむ)

1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(以上、講談社)、『死ぬ前に後悔しない読書術』(KKベストセラーズ)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)など著書多数。安倍晋三の正体を暴いた渾身の最新刊『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ)が全国書店、Amazonにて好評発売中。