習近平国家主席(左)と李克強首相(右)の権力闘争も経済政策に影響を及ぼしているという。

AIIBと一帯一路構想の行き詰まり

 シーノミクス、習近平の経済政策の柱には、国家資本輸出主義と呼ばれる経済の対外拡大政策がある。その柱になるのが一帯一路構想であり、その構想を支えるためにAIIB(アジアインフラ投資銀行)やシルクロード基金を設立したのである。

 二〇一五年春の段階で、日本がこのAIIBに加盟するかしないかで、ずいぶん揺れたことを覚えている方も多いだろう。なにせ英国が米国の反対を押し切って加盟を表明した後、EU主要国を含む四〇カ国以上が次々と加盟したのだから。

 結果的に日本がAIIBに入らなかったことは、好判断であった。なぜなら今の時点で見てAIIBもシルクロード基金も一帯一路も失敗であったという見方が中国国内ですら広がっているからだ。

 中国の外交経済戦略構想「一帯一路」とは、北京から北西部を通りカザフスタン、ウズベキスタン、イラン、ギリシャ、トルコ経由でロシアやヨーロッパにまでつながるシルクロード経済帯と、南シナ海からインド洋を抜けてケニア、アフリカ大陸に至る海洋ルートの現代版シルクロードをめぐる沿線国との経済共同体構想である。二〇一三年九月と一〇月に習近平が中央アジアおよび東南アジアを訪問した際に提案した。

 目的は、国内の生産過剰、外為資産過剰をこの地域のインフラ建設に充てることで解消し、同時に資源輸送ルートの安全確保をはかる意味が大きい。また沿海部に集中する工業・インフラ製造業が「外部の敵」に攻撃された場合も、内陸部に核心施設を移転しておけば安心、という発想もある。

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