南シナ海でトランプ米国を迎え撃つ習近平国家主席率いる中国軍。

 米大統領選は大方のメディアの予想を裏切ってトランプの勝利に終わった。トランプ政権がスタートするのは来年1月20日以降なので、新政権の対中政策がどのようなものになるのかは今のところ不明だ。

 だが、中国共産党当局はおおむねトランプ政権を歓迎している。というよりヒラリー・クリントン政権よりまし、と判断しているというべきか。この傾向は、中国国営メディアの報道ニュアンスを見れば、選挙のかなり前から顕著であった。

 では、中国は何を期待してトランプ政権をヒラリー政権よりましだと考えたのか。実際に中米関係はどのような局面を迎えると予想されるのだろうか。

 

トランプ当選の速報は、米AP通信やNHKよりも環球時報のネット速報のほうが小一時間ほど早かったように思う。そのぐらい、中国メディアも米大統領選の行方を注視していたのだ。そしてその日のうちに習近平は国家主席名義でトランプ氏に祝電を打った。その祝電の内容は次のようなものだ。

 「最大の発展途上国家、最大の発展国家、世界の二大経済体として、中米両国は世界の平和安定を維持し、グローバルな発展反映を促進するという点において、特殊な重要責任を担っており、広汎な共同利益を保持している。中長期的に健全で安定的な中米関係を発展させることは両国人民の根本利益に合致し、また国際社会の普遍的な期待でもある。私は中米関係を高度に重視し、あなたと一緒に努力していくことを期待し、衝突せず対抗せず、相互に尊重し、Win-Winの原則を守り、両国の二国間において、地域において、グローバルな各領域において協力試合、建設的な方法で意見の対立をコントロールし、中米関係を新しい起点から推進してさらに大きな発展を得て、さらに両国人民、各国人民の幸せをつくりあげましょう」

半分以上リップサービスだとしても、米国との関係を改善したいというサインを先に中国から出していることは大きい。

ちなみに2012年12月26日に第二次安倍政権が発足した当日、当時の温家宝首相は祝電を打たなかった。尖閣諸島国有化問題で、日中関係が先鋭化していたからだ。速報の速さといい、賀電の速さと言い、中国当局がトランプ政権の登場になにがしかを期待していることは間違いない。

共産党中央ハイレベルと人脈を持つ筋によれば、その理由は主に四つという。

次のページ トランプは、オバマの政治的遺産であるTPPには絶対反対する…