全国大会金賞を目指し、日々厳しい練習に励む部員たちが綴ったノートにはどんな想いがこめられているのか。 市立船橋、伊予、修道、精華女子、安城学園、花咲徳栄、愛工大名電。 強豪校を中心に4月から11月に開催される全国大会までを取材。 友情・努力・涙・葛藤・プライド…。 ひたむきな高校生の青春を追いかけた感涙必至のノンフィクション。

 以下、序文より。

12分間にかけた吹部の青春

 

 その日、名古屋には秋風に乗って甘やかなキンモクセイの香りが漂っていた。空を覆う薄い雲の向こうからは、太陽の光が柔らかく地上を照らす。
 2016年10月23日、日曜日。それは、吹部(すいぶ)に所属する高校生たちにとって特別な1日だった。その日、名古屋国際会議場センチュリーホールで全日本吹奏楽コンクール高校の部が開かれるのだ。
 地区大会、都道府県大会、支部大会を勝ち抜いた30校だけが出場できる、「吹奏楽の甲子園」とも呼ばれる大会。出場校に与えられる時間は、課題曲と自由曲で合計12分以内。
 そのわずか12分間のために、日本中の高校生たちが一度しかない青春をかけてきた。
 そして、いよいよその最後にして最高峰の大会が始まろうとしていた。
 遡ること半年前、筆者は、4月から毎月1校ずつ、注目の高校を取材していった。どこが全国大会に出場できるのかもわからないまま、10月まで取材を続けた。その結果、学校ごとに異なるエピソードが描きながらも、本書は全体として一つの大きな「吹奏楽コンクールの物語」が作られていった。
 そして、前作『吹部ノート』と同様、部活ノートや練習ノート、メッセージカード、寄せ書き、手紙、日記…など吹奏楽部員たちの綴った「言葉」が物語のキーポイントになっている。その言葉の一つ一つが胸を打つのは、高校生たちがひたむきに、純粋に、素直に、吹奏楽というものに向き合っているからだろう。
 10月23日の名古屋を目指した吹部の物語。では、そのページを開こう。 

オザワ部長

市立船橋高校 中臺真映さんの部活ノート

【目次】
01 すれ違い、ぶつかり合う心と心。その瞬間を埋めた吹部ノート
4月 船橋市立船橋高等学校

02 伊予サウンドを支えるサポートとしての誇り。そして今年こそは…
5月 県立伊予高等学校

03 進学校のブラバンボーイズが、広島から響かせる平和の鐘
6月 修道中学校・修道高校スクールバンド班

04 エーストランぺッターの成長。「結果がほしい」そのために
7月 安城学園高等学校

05「なんで?」の答えを探して…ブラバン少女たちの長い苦難の旅路
8月 精華女子高等学校

06 甲子園での応援に感謝を込めて、野球部からの熱いエール
9月 花咲徳栄高等学校

07 強豪校ゆえのプレッシャー。それを乗り越えた先にあったもの
10月 愛知工業大学名電高等学校