子どもが生まれる少し前に、お米をもらいました。ちょっと小ぶりな袋に入った3kgのお米。それで、3kgっていったらちょうど新生児の重さじゃあないか、ということで毎日そのお米を抱いてトレーニングに勤しむことになりました。

 新生児用の紙おむつもピッタリ入るので、おむつを替えてみたり抱っこして歩き回ってみたり、そうしていくうちに少しずつ愛情が芽生えてきてしまい、「米子(よねこ)」と名付けて毎日お世話をしました。寝る時は枕元に置いて、子守唄を歌いながら寝かしつけをします。
 
 こうして色々事前準備はしっかりしていたはずなのに、いざ子どもが生まれてハイ!どうぞ!抱っこしてください!と言われた瞬間、全てが真っ白。ひたすらアタフタするばかりでした。生まれたばかりの子どもは米子よりも軽い2,400gだったけど、体感としてはずっしりと重く、命とはこんなにも重いものなのか……と感じたことを覚えています。

 最近、子どもが毎日メルちゃん(お人形)のお世話をしています。抱っこも、沐浴も、ごはんも、そして寝かしつけまでもできるようになりました。間もなく生まれる赤ちゃんを自分がお世話するのだと一生懸命頑張っている姿を見ると、かつての自分の姿を重ね合わせてしまいます。抱っこをする時に毎回メルちゃんの髪の毛を鷲掴みにするのでヒヤッとしますが、本人はいたって真面目。

 あなたが生まれてもう3年になります。おとうちゃんは、赤ちゃんの抱っこの仕方をすっかり忘れてしまいました。そして赤ちゃんを初めて見るあなたもきっと、本物の赤ちゃんを見てあたふたしてしまうことでしょう。病院の小さな部屋で、妻に笑われながら赤ちゃんを抱っこする私達の姿を想像して、少し笑ってしまいました。こうして私たちの4人生活が、間もなく始まります。

この連載は隔週金曜日の更新です。第22話は、2週間後の12月23日(金)に更新予定です。次回もお楽しみに!