国立大学VS私立大学、入学してからより「学問」を探求できるのはどちらだろうか? 『公立VS私立』の著者、で経済学者の橘木俊詔氏は、国立大学に軍配をあげる。以下にその理由をみてみよう。

●ノーベル賞をとりたければ国立大へ行くべし!

 まずは歴代ノーベル賞受賞者の出身校がひとつの指標となる。

 「国公立大学の私立大学に対する優位は明らかです。日本人の歴代ノーベル賞受賞者25名(米国籍の南部氏・中村氏を含む)が全員、国立大学出身という事実が象徴的です。政治家、経済界、文壇、マスコミ、芸能に至るまであらゆる分野で、世の中に一流の人物を多く輩出してきた私大の2トップ、慶應・早稲田ですら、こと学問・研究の分野ではノーベル賞受賞者を出すに至っていません」

 「ただ、ここ数年、毎年、ノーベル文学賞候補に上がったと取り沙汰されている作家の村上春樹氏は早稲田大学出身です。私立出身者初のノーベル賞受賞で株を上げたいと、早稲田関係者は期待を寄せているのではないでしょうか」

 橘木氏は国立大学の研究環境の充実を指摘する。

 「研究分野で国立大学が優位なのは、戦前から戦後の長い間にかけて、優秀な学生がまずは国立大学(特に帝国大学や旧制帝大)を目指す風潮が強くあり、勉強好きな優秀な学生が多く集まった、などの理由もありますが、最大の理由は国立大学のほうが研究費が潤沢だということです」

 文部科学省が発表している「科学研究費補助金配分ランキング」をみてみよう。平成27年度の数字では、東京大学の216億1298.1万円を筆頭に、2位京都大学の139億6161万円、3位大阪大学、4位東北大学と国立大学が続き、なんと9位の国立研究開発法人理化学研究所を除けば上位10校すべて国立大学という結果が。

 「このように圧倒的に国立大学のほうが研究費が充実しているのですから、研究者を目指す人にとって私立は不利といえます。もちろん研究者自身に能力がなければ何もできませんが、そもそも研究には莫大な費用が必要です。特に理科系を中心として、実験設備や研究補助者の人件費などにもお金がかかりますから、そこで補助金の少ない私立で研究をするのは厳しいと言わざるを得ません」

 「大学の学部構成を見ますと、国立は理工系が多く、逆に私立は文系が圧倒的な比率を占めていますので、研究費を多く要する理系の国立大に研究費が集まる、という理由があります。研究補助者として研究を助けてくれる助手も必要ですし、大学院生の多くいる国立大の優位も無視できません。研究の伝統が継承されている国公立のほうが設備、人材の両面からみても有利なのです」

 
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