●私立大学は生徒数と授業数が多すぎる!

 橘木氏はさらに教員数と生徒数の割合という観点からも分析を続ける。

 「教員数の違いも重要です。平成28年版の文部科学省の『学校基本調査』によると、教員1人あたりの学生数は国立大学(87校)で9人、公立大学(89校)で11人、私立大学(568校)で20人となっていて、私立と国公立大学では約2倍の開きがあります」

 「具体的にみますと、たとえば私立の慶應義塾大学の経済学部では1学年に1200人の定員、同志社大学では850人です。それが国立の京都大学では経済学部は240人とだいぶ規模が違います。ひと回り、ふた回り京大の方が学生数は少ないのです。それに対する教員数は京大・同志社も50人程度と変わりませんので学生・教員比率で京大のほうが恵まれています」

 さらに私立大学は授業のコマ数が多すぎるという問題もある。

 「研究をやりたい教員の側からみても、実は国立大学のほうが教員が教える講義のコマ数が少ないのです。私立は学生数が多いため、大教室で教える場合が多く、そうなると教員の義務が私立の場合は重く、厳しいとも言えます。大教室で大きな声を張り上げて何時間も講義をすれば体力を消耗して、研究に割く時間もなくなってしまいます」

●研究だけを求めるなら旧帝大系の国立大学がベスト!

 最後に橘木氏は、国立大学の分化を指摘する。

 「いまは国立大学のなかでも3分類の分化が進んでいます。すなわち文部科学省の方針で、旧帝大系と東工大・一橋大などの国立大学に研究補助金を集中させて、それらの大学を『世界水準の教育研究の展開拠点』として第1分類にしている現状があります」

 「旧帝大以外の大学は『全国的な教育研究拠点』と『地域活性化の中核的拠点』として二分割しています。教育と研究をそれなりにという第2分類と、地域貢献と教育に特化せよという第3分類の方向になっているのです。研究は旧帝大で、教育は旧帝大以外の国立大でという方針を取り入れているため、研究だけをやろうとすれば旧帝大系の国立大学が有利な環境にあります」

 「学問」、とくに研究のことを考えると、やはり旧帝大の実力は圧倒的なようだ。

(『公立VS私立』をもとに構成)