習近平国家主席は、文化大革命の手法で大衆を動員・独裁を強化している。が、その反動はいまやチャイナリスクの大きな要因のひとつに…。

習近平政権によるメディア・知識人への弾圧

 

 習近平政権発足後、中国は文化大革命以来といわれるほど激しい、メディア・知識人への弾圧が始まった。大学では「七不講」(七つの言葉について論じてはならない)という耳を疑う内部通達が行われた。

 七つの言葉とは、①人類の普遍的価値、②報道の自由、③公民社会、④公民の権利、⑤党の歴史的錯誤、⑥ 権貴(特権)資産階級、⑦司法の独立。つまり人権や民主に関する西側の価値観への評価、文化大革命や天安門事件などの歴史問題、社会の不条理批判、人権などの権利擁護、党中央指導者の不正告発などを許さず、言論統制とメディアコントロールを強化しようとした。

 この「七不講」の根拠となっているいわゆる「九号文件」﹇習近平のイデオロギー政策に関する内

部通達文書。西側の民主、人権、公民の権利、市場経済など、七分野について中国の現状を批判する形で流布してはならないと通達する内容﹈を外国メディアなどに漏らしたとして、「国家機密漏洩罪」で当時七一歳の改革派女性ジャーナリスト高瑜(こうゆ)[一九四四~]が懲役七年の重い判決を言い渡されたのを筆頭に、中国の良心と見られてきたジャーナリスト、記者、知識人らが次々と不当逮捕され、起訴や裁判の前にCCTVのカメラの前で自白や懺悔(ざんげ)を強要し、司法プロセスを無視したやり方で有罪を確定していった。

 その様子は、まるで文化大革命時代の「つるし上げ」「批判闘争」を彷彿(ほうふつ)とさせた。体制にもの申すメディアは弾圧され批判精神を奪われた。習近平夫人・彭麗媛は、かつての毛沢東夫人・江青のように芸能界、文芸界に介入して習近平個人崇拝のプロパガンダを仕掛け、ネット統制を強化して世論誘導による「小粉紅」と呼ばれる愛国的若者を量産した。

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