1989年に撮影された習近平と彭麗媛夫妻。二人にはハーバード大卒の娘が一人いる。

文革礼賛コンサートの怪

 このコンサートの演出、選曲はすべて、文革時代を彷彿とさせるようなものだった。紅衛兵[文化大革命時期に台頭した全国的な青年学生運動。学生が主体で一部の虐ぎゃく殺さつに加担した]が毛沢東を礼賛するように少女たちが右手を掲げて、「社会主義好!」や「共産党がなければ新中国はない」といった革命楽曲、「大海航行は舵手に任せよ」といった文革楽曲、果ては習近平総書記にささげる「肉まん屋」「あなたを何とお呼びすれば良いのか」といった楽曲を毛沢東のイラストや習近平の映るニュース映像などをバックにした舞台でオーケストラに合わせて合唱し、踊った。

 このグループ自体は、日本発のAKB48や、AKBをプロデュースした秋元康が手がけた中国人少女アイドルグループSHN48などに対抗して、文化部傘下の東方文化芸術院宣伝部に属する民間芸能グループとして発足。解放軍芸術学院や中央民族大学付属高校などから一六~二三歳、身長一七五センチの少女を集めた世界最大の少女アイドルユニットという。いちおう、民間のグループということになっているが、党の後ろ盾によって、党と国家の宣伝を目的に生まれたグループなので、純粋な商業アイドルとは違う。

「56フラワーズ」。中国語の意味で「56の花束」という少女合唱団。平均年齢16歳、中国の56の民族を表しているという。

 この〝文革コンサート〞に対し声を上げて糾弾したのは、建国初期の労働相で元全国政治協商委員会・馬文瑞の娘、馬暁力(ばぎょうりょく)[太子党で最右翼の民主派に属し、父親の馬文瑞は習近平の父、習仲勲の同志]だ。彼女は激怒して「この文革コンサートを誰がやらせたのか徹底調査すべきだ」と中央弁公庁主任の栗戦書に直接手紙を書いた。

次のページ 56フラワーズ文工団の団長は、メディアに対して、社宣弁についての発言を拒否しつつ「演出に文革宣伝の意図はない」と訴えた…