「なにかに打ち込んでいる子は将来どんどん賢くなる」と語るのは、『将来賢くなる子は「遊び方」がちがう』(KKベストセラーズ刊)の著者・松永暢史先生。その理由について詳しく聞いてみた。


◆打ち込めるものがある子は将来伸びる

 現在子育て中の親御さんの中には、お子さんの勉強に関心が高く、それゆえに日々のテストの点数や通知表の評価に一喜一憂されている方もいることでしょう。しかし、大学入試センター試験の廃止を皮切りに、知識の習得から知識の応用へと、教育の方向性が変わっていくこれから、テストの点数や通知表の評価だけで賢さを推し量るのはナンセンスです。
 「そうは言っても、うちの子は本当に頭が悪いから、もっと勉強させなくちゃ」と嘆く方に伺います。お子さんはなにか打ち込めるものを持っていますか?
 恐竜博士とあだ名がつくぐらい恐竜に詳しいとか、植物を育てるのが得意でバルコニーがいつも緑で溢れているとか、お菓子づくりが趣味とか、サッカーが大好きで、チーム練習がないときも家でリフティングの練習をしているとか。
 どのようなことでもいいのです。なにかに興味を持ち、それに打ち込むことができる子は、将来、それが力になります。端的に言えば、大学に受かりやすくなるのです。
 子どもの勉強の出来不出来に思い悩む前に、なにか子どもが夢中になって集中できるものがないか考えようとするのが、これからの賢い親のあり方です。

◆机を離れて生きた体験を得させる

 たとえば、男の子がハマるものに虫捕りがあります。

写真を拡大 イラスト:長沼映美

 「よーし、カブトムシを捕まえるぞ」と思ったら、カブトムシの活動時間や好きな木などを調べるでしょう。早起きをして公園に出かけて、クヌギやコナラなどのカブトムシがいそうな木を探索します。捕まえられなかったら、どうして見つからなかったかを考えて、今度は樹液を塗って仕掛けをつくろうなどと別の発想が浮かぶかもしれません。
 その結果、見事捕まえられたら、もう有頂天です。次はクワガタ、次はカマキリ、次はカミキリムシ……と、ターゲットがとめどもなく出てくるわけです。
 「気持ち悪いから、もう捕まえてこないで」と言いたくなるかもしれませんが、そこはぐっと堪えてください。というのも、この虫捕りのような生きた体験を数多くすることは、勉強に大いに役立つのです。
 これからの大学入試では、単純な知識の再現能力ではなく、思考力、判断力、主体性といった力が問われるようになります。それは、文科省がセンター試験廃止をはじめとする教育改革に取り組むにあたり発表した、「学力の3要素」というスローガン(※)に示されている通りです。
 どうしたらカブトムシを捕まえられるのかと考えることは思考力となり、カブトムシがいそうな場所を選んだり、樹液を塗って仕掛けをつくったりするのは判断力につながります。カブトムシを捕ろうと思い立ち、早起きして虫捕りに行くのは、そう、主体性そのもの。
 このときに友達と一緒に虫捕りに行けば協働性まで身につくでしょうし、カブトムシを捕獲するまでの格闘を記録すれば表現力も磨かれるでしょう。
 これからの賢さは、机に向かうだけではどうにもなりません。こうした生きた体験の積み重ねから培われるものなのです。


※学力の3要素……「知識・技能」「知識・技能を応用できる思考力、判断力、表現力」「主体性をもって多様な人と協働して学ぶ態度」