「今さら聞けない」そんなニュースのキーワードはないでしょうか。これだけ押さえておけば、ニュースがみるみる分かる。上司にも「あいつ知ってるな」と思わせる、「トレンドワード」をスピード解説。「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが生徒役となり、その分野の先生たちに話を聞いていきます。
(キャラクター紹介)
トオルくん…学生時代の付け焼き刃の勉強がたたり、ニュースが分からないことだらけ。素朴すぎる疑問を発してよく相手を困らせる。20代会社員。
シズカちゃん…しっかり者で、いつも「これって〇〇ということですよね」とまとめてくれる。でもじつは結構天然ボケ。20代会社員。トオルとは同僚。

●なぜ台風予報はよく外れるのか?
 

(前回のおさらい~台風の進路予報図は、円の中心=台風の中心というわけではない。台風予報は“アンサンブル予報”という手法を使っているので結構「あいまい」なもの)

トオル…知らなかった! あとすみません。失礼なことを聞くんですがそもそもなんで台風予報ってなかなか当たらないんですか?

斉田…はははは。これは手厳しいですね。ひとつは気象庁が最初にはじき出しているスーパーコンピューターによる計算の精度が完全ではない、ということが挙げられると思います。台風の場合、雲の画像など限られた初期データしかないのでなかなか完璧な予報は難しいというのが現状です。しかし去年ひまわり8号が打ちあがったので今年から徐々に精度は上がっていくはずですよ。

 予報の正確性ということでは我々予報士もコメントで色々な可能性についてフォローしているつもりですので、ぜひ耳を傾けてほしいですね。「台風の動きが遅く、まだどちらの方向に進むか定まっていません。」「上空の風に流される場合には、急に速度が上がる可能性があり…」といったように図だけではなく、言葉で伝えようとしています。

シズカ…これから、気象予報士のコメントにもよく耳を傾けた方がよさそうね。

斉田…これに関しては、忸怩たる思いもあるんです。おふたりは予報士のコメントを聞いたことってありますか? きっと、晴れマーク、雨マーク、気温や降水確率といった視覚的な要素だけをチェックして、出かけちゃうんじゃないでしょうか。

トオル…そうかも。

シズカ…え、予報を読み上げる以外に何か言っていたかしら?

斉田…言っているんです(笑)。先日、広島のケースで普段は家の2階で寝ている家族が、雷の音が怖くて1階で寝ていたところ、土砂崩れで1階が埋まってお子さんが亡くなってしまったという痛ましいニュースを耳にしました。これも僕達予報士は大雨による災害が発生しそうなときには「崖から離れ、建物の2階以上にいるなど、できるだけ安全な場所にいてください」と放送中にお伝えしているつもりなのですが、届いていないことが多いのも事実です。我々の課題でもありますが、ぜひこれを機に予報士のコメントにも耳を傾けてもらえればと思います。

 もうひとつ、報道側にも不親切だな、と反省すべき所があります。それは番組によっては気象庁のアンサンブルによる台風予想ではなく、ヨーロッパモデル(ヨーロッパ中期予報センター)やアメリカモデル(米軍合同台風警報センター)という予報を使っている場合です。一応放送では「ヨーロッパの計算モデルでは…」という風に言っていますけど、一般の視聴者はそこまで聞いていないですよね。そうした海外のモデルだと、日本列島を縦断していくように見えるものもあって、ミスリードを引き起こしてしまう可能性があります。

 
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