第3回
『コップのフチ子』(2012/奇譚クラブ) 

 「20万個売れればヒット」と言われるカプセルトイ業界において、シリーズ販売累計1100万個(2016年12月現在)を売り上げた『コップのフチ子』。

 今なお売り上げを伸ばし続ける大ヒット商品は、どのようにして生まれたのか? 同商品を手掛けるカプセルトイメーカー「奇譚(きたん)クラブ」主宰の古屋大貴(ふるや だいき)氏に誕生の裏側を尋ねた。


 『コップのフチ子』の原案者は、マンガ家のタナカカツキ氏だ。かねてからタナカカツキ氏のファンだった古屋氏が商品作りを依頼したところ、10本前後の企画スケッチの中に“彼女”の姿があった。

 社内の企画会議で人気投票を実施した結果、『フチ子』の人気は3番手だった。それでも、古屋氏は『フチ子』の商品化に踏み切った。

 「『フチ子』には、ほかの企画にはない“新しさ”がありました」(古屋氏)

 『フチ子』が発売された2012年当時、カプセルトイ業界で売れていたのは、ストラップやマグネットなどのアイテムだった。そんな中、「コップのフチに引っ掛けるフィギュア」という真新しさにピンと来た。

古屋氏は株式会社ユージンでカプセルトイ制作を学び、06年にカプセルトイメーカー「奇譚クラブ」を立ち上げた。『コップのフチ子』『江頭2:50ストラップ』など、ヒット商品多数

 「やっぱり“ありきたり”って、つまらないじゃないですか。僕は岡本太郎さんが大好きで、既成概念を壊すようなものが好きなんですよ。あと、もうひとつの理由は“ユニセックス”なところ。『人によって好き嫌いが分かれない』という点において、『フチ子』は突出していたんです」(古屋氏)

 今でこそ女性向けのカプセルトイも数多く発売されているが、そのブームを生み出したのは『コップのフチ子』だと言われている。男性層がメインターゲットだった同業界において、新たに女性層を取り込んだのだ。