1風邪薬で風邪が長引く?
病気を治す免疫反応を薬で止めてはいけない

 風邪薬を飲めば症状は軽くなるが、風邪は治っていない。
 そもそも風邪を発症して、熱が上がったり、咳をしたりするのは、ウイルスに抵抗しようと体の免疫機能が頑張っているから。咳や鼻汁が出れば体内のウイルスを排出でき、体のだるさは安静を促して回復を早めることができる。病気による反応には意味があるのだ。
 ところが薬によって免疫反応を抑えると、咳で排出するはずのウイルスは体内に残り、熱が高くて活動が抑えられていたウイルスは活動を再開する。その結果、風邪が長引くことになる。したがって、安静こそが一番の治療法だ。


2鎮痛剤が頭痛を悪化させる?
⇒痛み止めに頼りすぎると薬物乱用頭痛をまねく

 さまざまな痛みを和らげる鎮痛剤が、症状そのものを悪化させることがある。その代表例が頭痛だ。
 頭痛を鎮めるために薬を飲み続けていると、余計に痛みが増すことがある。もちろん飲み始めは効くが、徐々に薬への耐性ができてしまい、薬の量や服用回数を増やしても、効果はさらに弱まって痛みに苦しみ続ける。まさに悪循環。
 これは「薬物乱用頭痛」という症状。長期にわたる同じ鎮痛剤の連用によって、わずかな刺激でも激しい頭痛が生じるようになってしまうのだ。回復するには、医師と相談しながら、鎮痛剤の使用を徐々にやめていくしかない。


3便秘薬で便秘が悪化する!?
⇒使い続けると腸の機能を弱める危険がある

 刺激性の下剤には、腸の蠕動運動を強制的に活発化させる働きがある。これを連用すると耐性ができ、腸は外からの刺激がないと蠕動運動をしなくなる。薬を増やすと一時的に排便できるが、さらに耐性ができる悪循環に。腸が弱った状態で薬をやめると、最初の状態よりも便秘が悪化するのだ。


4下痢止めは病気を悪化させる?
⇒毒を排泄しないで体内に留めてしまう

 下痢は、体内の毒素を外に出そうと体が反応している状態であり、へたに止めるのは危険だ。下痢止め薬の作用は腸の働きを止めること。腸の活動が止まると排泄すべき毒素が体内に留まってしまい、余計に症状を悪化させてしまう。下痢は体が回復しようと頑張っている証。耐えることも大切だ。


5骨粗鬆症の薬はほとんど効果がない?
⇒効果があるのは100人に1人程度

 骨粗鬆症に多用されるビスホスホネート製剤の一種、フォサマックは「大腿骨骨折の危険性が51%減った」とされるが、実際には「約1000人の患者へ3年間投与して骨折を22人から11人に減らせる」という内容。つまり、薬を飲み続けた恩恵を受けられるのは、100人に1人しかいないといえる。


6認知症の薬はほとんど効かない!?
⇒薬をきちんと把握して飲まないという選択肢も

 治療貢献度が極端に低いといわれている分野が、認知症の薬だ。薬は症状を回復するものと思いがちだが、認知症の薬は症状の進行を抑えるだけであり、症状そのものを抑えることはできないのだ。
 また、認知症の薬は個人差も大きく、まったく効かない人もいれば、症状が悪化する人もいる。さらには、認知症では本人がまったく困っていない場合も多い。リスクのある薬を投与せず、「ボケと戦わない」という選択肢も、本人や家族にとって大切かもしれない。


7睡眠薬は依存症になりやすい?
⇒長期間の使用は要注意 飲む前に生活習慣改善を

 年齢を重ねるほど睡眠時間は短くなり、同時に眠りが浅くなり、不眠を訴える人も出てくる。また、腰痛を抱えている人が寝返りによる痛みで眠気が醒めたり、糖尿病などの合併症で不眠になることもある。
 病院で相談すると睡眠薬が処方されるが、服用には十分な注意が必要だ。長期間連用すると習慣化し、依存性が増して抜け出すのが難しくなる。無理にやめようとしても、さらに深刻な睡眠障害が起きる可能性もある。高齢者ほど転倒のリスクが高まるのも問題だ。


8抗うつ薬がうつ病をまねく?
⇒薬がさらなる危険をもたらすこともある

 抗うつ薬は症状を改善する作用がある。ただし、副作用に着目すると丸呑みにしてはいられない。抗うつ薬はイライラや不安などを生じさせることがあるからだ。
 一般的には抗うつ薬による自殺リスクは「薬を飲みはじめて28日後まで」と「使用中止して28日間」で高くなるといわれている。例えばSSRIという抗うつ薬の場合、7~18歳の患者に投与した結果、症状が改善しなかったどころか、自殺リスクだけが増えるという結果が出ている。

 

番外 飲んでも無意味なサプリメントとは?
 巷には酵素ドリンクやコラーゲンサプリメントなど、無意味な健康食品が存在する。これらは経口しても消化液で分解されるので、体内で成分が作用することはない。サプリメントを服用するなら、ビタミンやミネラルなど、体にとって必須となる成分を選ぼう。


深井良祐さん
薬剤師。株式会社ファレッジ 代表取締役。
医薬品卸売企業の管理薬剤師を経て独立、医療・WEBコンサルタントとして活動する。
『いま飲んでいる薬が危ない!』(秀和システム)などの著書がある。

※一個人11月号

イラスト/池畠裕美