習近平国家主席。12月2日、「米国がTPP離脱後はアジアの各国は中国に目が向く」と河野太郎は警戒感を表した。

絶対に避けたい「赤い帝国」の世界支配

 習近平を中心とした赤い帝国が米国をしのぐ国際社会のルールメーカーとなり、世界の三分の一から半分が中華秩序に支配される可能性とは。これは日本にとって最悪の、絶対に避けたい近未来である。

 習近平はめぼしい政敵をすべて失脚させ、共青団改革を行い、南シナ海、東シナ海における軍事行動を通じて軍権をしっかり掌握し、軍権に裏付けられた強い共産党体制を確立し、政治局常務委員制と引退年齢を廃止し、長期独裁体制を打ち立てて「二つの一〇〇年計画」実現に向かって辣腕を振るってゆく。歯向かう者、意義を唱える者は、強烈な治安維持力・軍事力で抑えつける。習近平は後に中国共産党中興の祖と呼ばれるようになるかもしれない。

 南シナ海は中国の実効支配が確定し、米国の影響力はアジアにおいて完全に排除され、米中G2時代、あるいは日米・中ロの新冷戦構造という軍事的緊張時代が始まるかもしれない。ASEANを含むアジアでは西側民主主義ではない中華秩序、ルールが中心的価値観となり、人民元を基軸通貨としたアジア・シルクロード経済圏が確立し、国家資本輸出主義と銘打った、中国式バブル経済を周辺に輸出することで、当面の経済危機を乗り越えようとする、という可能性だ。

 日本は米国と中国の緊張の間にあって、地政学的にいちばん軍事的リスクを負いやすいポジションに置かれる。世界大恐慌というような厳しい経済条件が重なれば、本当に米中戦争の危機は訪れるかもしれない。EUは経済的にも国際政治的にも弱体化し、中国におもねる一方で、国力の弱まった米国はアメリカファースト主義を貫き、日本の尖閣諸島が軍事力でもって中国に奪われようとも、見て見ぬふりをする。日本は自国の領土と領海を大きく失い、経済の活力を奪われ、中華秩序の一員として中国に従順にならざるを得ない状況に追い込まれるかもしれない。

次のページ 中国が当面の目標としている南シナ海や東シナ海の島々の実効支配、軍事拠点化を阻止せねばならない