「日本国憲法」が70年もの間改正されなかったのはなぜなのか……。その歴史背景から条文の中身まで、教科書や新聞、テレビが伝えないホントの「憲法問題」を語る注目作がついに発売!(2016年12月16日、全国書店等で販売開始!)。『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』の著者・KAZUYAさんに、公布70年を迎えた「日本国憲法」の成り立ちや改憲論議にまつわる様々な問題について語ってもらった。

Q1 まず、今、このテーマで本書を執筆しようと思った動機をお聞かせください。

KAZUYA(以下、K):「日本国憲法」は、一度の改正も行われないまま、今年(2016年)で公布70年を迎えましたが、国会での改憲勢力は確実に増えていますね。

 今夏の参院選で、自民・公明の与党と維新などを含めた改憲勢力は衆参両院で3分の2の議席を占めることになり、日本国憲法96条に書いてある「憲法改正」の発議が国会でできる状態になりました。

 そういった政治状況もあり、憲法問題は今まで以上に注目されるようになっているのですが、不思議なことに、国会よりもメディアを中心に改憲論議が活発になっている感じがします。

 だから、こんなときだからこそ、改憲に関する論議をメディア任せにしないで、我々国民もしっかりと考えていかなくてはいけないんじゃないかと思うわけです。

 それで、「憲法について考えるキッカケづくりになるような本を書けたらいいな」と。それも「憲法とはどうあるべき!」といった大上段に構えたものではなく、「憲法って何なの?」といった感じの軽いニュアンスで書いてみようと思ったのです。

 それから、日本の憲法は、かなり勘違いされて受け止められている部分があります。その代表例が、「日本国憲法は良いもの」で「帝国憲法は悪いもの」といったイメージです。

 そういう、イメージだけで見られている、あるいは先入観を持って捉えられている日本の2つの近代憲法。実はそんな単純なものじゃないんだよということが、少しでも伝えられたらいいなという思いもありました。

 

Q2 本書は「日本人が知っておくべき~」シリーズの第2弾になるわけですが、前著との関連をお聞かせください。

K:「先の大戦に至る道」というのは、現代日本に繋がっている部分があるんですね。だから、敗戦直後に作られた日本国憲法の成立過程を見直すことによって、現代日本の病理というか、日本の本質的な問題が見えてくるのではないか、と僕は考えています。

 前著の『日本人が知っておくべき「戦争」の話』では、戦争に至るまでの世界情勢や日本の歩みを詳しく見ていきましたが、今回は敗戦以降の話で、特に「憲法」にスポットをあてて書いています。

 分量の問題、あるいは話の展開上、「戦時中」のことはすっ飛ばしていますので、もしかしたら今後の「日本人が知っておくべき~」シリーズで、その抜けた間の部分(戦時中)を補完するカタチの本を書くことになるかもしれませんね。

 

Q3 本書では「日本国憲法」だけでなく、「大日本帝国憲法」の成立過程も詳しく解説されていますが、それはなぜですか?

K:「Q1」のところでもお話しましたが、この2つの憲法はどちらも勘違いされている部分がけっこうあるんです。

 僕たちは、小学校でも、中学校でも、高校の授業でも、日本国憲法についてはそれなりに習います。特に、「9条」あたりのことはやけに詳しく……。

 だけど、大日本帝国憲法についてはほとんど習うことはありません。そういう憲法が過去にあったということぐらいで、内容についてはほとんど教えてもらえていません。だから若い人に限らず、多くの日本人は帝国憲法がどんなものか、本当のところを知らないのです。

 また、現在の日本では、帝国憲法は「日本国憲法を褒め称えるための存在」になっています。「帝国憲法は悪い憲法だけど、日本国憲法は良い憲法だ」といったように―。

 ですから、帝国憲法は怖い憲法だという「思い込み」、あるいは悪い憲法だという「先入観」を取っ払って、冷静な目で、もう一度帝国憲法を見てほしかったのです。

 この本を読んだ方が、「どうやら、帝国憲法はよく言われるような悪い憲法ではなさそうだ、一度じっくり読んでみようか」、そう思ってくれればいいなと思っています。

 

Q4 「日本国憲法」が70年間に一度も改訂されなかった一番の原因は何だと思われますか?

K:それは時期によって違うと思います。

 1990年くらいまでは、世界は冷戦構造のなかにありました。つまり、アメリカとソ連という2大強国があって、この2つの国は直接対決をしない、という前提がありました。だから、世界中で勢力の均衡が保たれていたのです。

 そんな状況下、日本は一方では憲法「第9条」を掲げながら、一方で「経済成長」を目指してがむしゃらに突き進んでいきました。そうやって高度成長を成し遂げていったんです。

 ただ、冷戦構造という均衡状況のなかでも、「朝鮮戦争」(1950-53)、あるいは「ベトナム戦争」(1964-75)とかの局地戦はありました。これらはいわば2大強国の代理戦争ですよね。

 それでも、なんとか世界の安定は保たれていたので、日本はあえて憲法を変えることなく、「解釈」という手段でギリギリのところで誤魔化してきた、そんなふうに言えるのではないでしょうか。

 ただ、近年になってくると、さすがにそんな解釈による誤魔化しではキツくなってきた。去年(2015年)の安保法制のときもそうですが、「解釈」だけでは無理な部分も出てきています。

 それやこれやで憲法改正の機運が、ここにきて一気に高まってきたのかなと思いますね。