今年(平成28年)は「日本国憲法」公布から70年。来年(平成29年)5月3日で、施行70年の節目です。1年以上止まっていた「憲法審査会」も再開され、がぜん憲法改正への流れができつつあります。しかし、私たち主権者たる国民は、憲法についてどれだけ理解しているでしょうか……。新刊『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』の著者KAZUYA氏が、TV・新聞が報じない、憲法の“常識”について語りますー。短期集中連載、第1回目のテーマは「憲法改正の意味」です。

 現代ではパソコンはもちろん、スマートフォンの普及も凄まじいものがあります。ほんの20年ほど前はさほど普及していなかったものが、今や誰もが持っているような時代です。

 そんなパソコンやスマホにはOS(基本ソフト)が入っています。OSはコンピューター全体を管理、制御して動かすために必要な、とても重要なソフトです。パソコンならばWindowsやOSX、スマホならばAndroidやiOSなど、誰でも聞いたことはあるでしょう。

 OSも完璧ではありませんから、バグ(不具合)が見つかることがあります。そうした場合アップデートをして、そうした不具合を潰しつつ機能を向上させ、さらに良い状態にしていくのです。

 パソコンやスマホでも度々OSの細々としたアップデートが行われます。さらに時代が移り変わって機能や用途の拡大が必要になれば、OSが根本的に変わることもあります。そうして常に最新の状態を保つことになります。

 

 国家の根本的な法である憲法も、OSに似たものがあるのではないでしょうか。人間の作る法ですから、完璧とはいきません。何らかの不備が出てきます。作った時点ではなかったような概念も、時間が経てば出てくることもあります。そうした場合、普通であれば憲法をアップデート(改正)するのです。

 例えばアメリカだと、元の条文をいじるわけでなく、従来のものを残しつつ修正条項として付け足していきます。「アメリカ合衆国憲法」は、1787年に制定されて以来、これまでに18回、27条の追補を行っています。

 日本と同じ第二次大戦での敗戦国であるドイツはどうでしょうか。ドイツは戦後、東西に分断されました。西ドイツでは「憲法」という名前ではなく「ドイツ連邦共和国基本法」を作りました。旧西ドイツのボンで起草されたので、「ボン基本法」とも言われています。これは当初、東西ドイツが統一するまでと考えられていました。しかし、その後東西ドイツが統一しても新たに憲法が作られることなく、現在もボン基本法が存続しています。そして改正に関してはこれまでに60回も行っているのです。戦後に作られて60回ですから単純に考えると、毎年のように改正がなされているような感覚です。

 1917年に制定された「メキシコ憲法」は、2015年7月までに225回も改正されており、もはや年に1回どころの改正ではありません。1814年に制定された「ノルウェー憲法」もひんぱんに改正されており、なんと400回以上になると言います。他の国も度々の憲法改正が行われているのが世界の実態です。

 

※『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』KAZUYA/著(KKベストセラーズ)より一部抜粋