2014年に自身の仕事観を記した『林修の仕事原論』(青春出版社)を上梓した、林修先生。2年の時を経て昨年新書版が発売されましたが、その間テレビ番組などでの華々しい活躍を通して、仕事に対する考え方に変化はあったのでしょうか?


芸能界の仕事は、予備校講師のそれととても近い

 仕事に対する考え方の変化は、ここ数年、ほとんどありません。予備校での授業のやり方や説明の方法なども、2008年頃——43歳のときからまったく変わっていないので。

写真/花井智子

 なぜ変わらないのか。傲慢(ごうまん)な言い方をすれば、完成形だからでしょう。1年を振り返ったときに、以前なら「ここを少し直そう」といった反省点が多少なりともありました。それを毎年、マイナーチェンジしていった結果が現在の形です。最近では受験直前に、一年を振り返ると、こちらとしてはこれ以上教えてやれることは、もうないなと思うんですよ。もっとも、合格するかどうかは受験する本人次第ですがね。

 テレビに出始めたのは2013年からですが、芸能界の仕事のやり方や人間関係は予備校の講師に非常に近いんですね。組織にどっぷり浸かったサラリーマンとは違い、舞台があってそこに呼ばれて人気がなければ消えていく。テレビには台本があるので僕自身の純粋なしゃべりではありませんが、人に何かを伝えて仕事になるという点も共通しています。
 名前と顔は売れたものの、自分の中ではなにも変わっていません。もともとクール以上のコールドな人間で、常に物事を冷ややかに見ているというのもあるでしょう。

 ただ、周りの目はおおいに変わりましたね。地方に行くと赤ちゃんや幼いお子さんを連れている方が僕のところに寄ってきて、「ほら、頭を撫でてもらいなさい。賢くなるから」ということが増えました。いやいや、僕にそんな呪力はありませんから。宗教の教祖になれるんじゃないかって? うーん……いけるでしょうね(笑)。

明日の第二回の質問は「Q2.なぜ一流を目指すのですか?」です。