「出版不況と言うのは、出版社がサボっているだけ」。そう語るのは大ベストセラー『えんとつ町のプペル』を生んだ、芸人にして絵本作家のキングコング・西野亮廣。彼は、時代によって変わるモノの売り方をどう読んでいるのか? いま、本を売るために必要なこととは?

出版不況は出版社がサボっているだけ

――『えんとつ町のプペル』が23万部を突破したとのこと、おめでとうございます。『えんとつ町のプペル』の2ヶ月前に出版したビジネス書『魔法のコンパス』が10万部突破。「出版不況」の時代に、西野さんは次々にベストセラーを生んでいますね。

 

 ありがとうございます。『えんとつ町のプペル』は「どうやったら売れるのか?」を真剣に考え抜いて、実践しました。せっかく作った作品も、お客さんの手に届かないと、作ったことになりません。
 出版業界の方って、口を開けば「出版不況」と言うじゃないですか。あんなの言い訳で、ただただ純粋にサボっているだけだと思います。時代が変わって、本の役割も変わっているのに、売り方を変えてない。「不況」という言葉を捨てて、「本は売れるモノ」と結論して、その結論に帳尻を合わせにいった方がいいと思います。


――非常に耳が痛いのですが……「売れる本」を作るために、どんなことを考えていましたか?

 まずは、自分の作品を「生活必需品」にしようと思いました。
 作品を売るのは確かに難しいけど、売れている作品もある。売れる作品と売れない作品のラインは何だろうと考えたとき、そもそも人は何を買って、何を買わないのかを想像しました。ぱっと思いつくのは、パン、お茶、牛乳、それから、値段が高くてもテレビ、冷蔵庫は買います。なのに、本を買うのは渋る。当たり前ですが、人は生活に必要なものを買うんですよね。じゃあ生活必需品になればいいと。
 CDを例に出すと、想像しやすいかもしれません。たとえば、今はCDが売れないじゃないですか。でも90年代はめちゃくちゃ売れてて、ミリオンセラーなんてざらに出てましたよね。あのときCDが売れた理由は、「音楽」が素晴らしかったのはもちろんのこと、僕らは音楽だけでなく、CDという物質を買っていた。

 

 僕の姉ちゃんの部屋にCDラックがあったんですけど、そこにCDがたくさん差さっていて、カッコよかった。僕、あの部屋に憧れたんです。つまりCDは音楽だけでなく、インテリアとしても機能していた。「CDラックを埋めたい」というのも、CDを買う理由にあったんですね。友達を家に呼んで、CDラックを見せて「どうや?」ってやりたかった(笑)。インテリアですよね。今はCDが部屋にあることがイケてると思われないから、買う理由が減りました。

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