お客さんを増やすのではなく、共犯者を増やす

――もともと売り上げ目標はあったんですか?

 

 『えんとつ町のプペル』は100万部です。その数字を最初に掲げました。僕の目標はウォルト・ディズニーを倒すことだとか言っちゃってるんで(笑)。
 そもそも絵本のマーケットは小さくて、1万部売れたらヒットと言われます。なので、まずは本屋さんに頼らず、個人で1万部は売ろうと決めました。出版社が「初版は1万部」とか言いやがったので、「バカヤロウ!個人で1万冊買い取るから、初版はもっと刷れ!」と。本当に買いましたよ、一万冊以上。自宅に2千ウン百万円の領収証があります(笑)。本気を出したら1万部は絶対に売れると思ったので。
 だから自分でネットショップを作って、発売前から本を売りました。世の中にはすでに「予約」の仕組みがあるんですけど、たとえばAmazonって発売の3ヶ月前からしか予約を始められないんですよ。でも、本当はもっと前に本を買いたい人だっているじゃないですか。


 本って、売り手が売りたいタイミングと、買い手が買いたいタイミングが必ずしも合致しない。本屋さんで平積みされてるタイミングで買いたい人もいるし、本を作ってる途中の段階で買いたい人もいます。でも、本屋さんで新刊が平積みされる期間って大体2~3週間くらい。その後は、棚ざしになってほとんど売れなくなる。
 これ全部、売り手の都合じゃないですか。この仕組みに組み込まれるのは嫌だなと思って、Amazonの予約前に勝手に自分で販売サイトを作ってみた。実はそのときは、本の価格も決まってなかったんですよね。だから僕が勝手に見積もって2500円で売りますって決めました(笑)。そこだけで事前に2000冊くらい売れました。


――予約だけで当初の最低目標の5分の1を達成してたんですね?

 いや、予約だけで結局1万部は到達したんですよ。『えんとつ町のプペル』はクラウドファンディングを使って、分業制で作った本です。その理由の一つには、クラウドファンディングに参加した人たちが絶対に本を買ってくれるって確信があったからですね。
 まず、僕自身もこの本をめちゃくちゃ一生懸命作ったんで、発売されたら1冊買うんですよ。きっと編集者も買いますよね。本は2人で作ったら、2冊は売れる。じゃあ、1万人で作ったら、1万冊売れるんじゃないかと思って。これまで僕たちはお客さんを増やす作業ばかりをしていたけど、そうじゃなくて、作り手を増やしてしまえばいい。作り手は、そのままお客さんになるから。


 クラウドファンディングは2回やったんですけど、1回目は分業に参加してくれるスタッフさんに支払う給料を集めるためにやりました。でもこれは表向きの理由。実際は、支援者という作り手を増やすことが目的でした。
 クラウドファンディングの本分は、お金集めじゃなくて、「共犯者集め」。「私も『えんとつ町のプペル』の製作に関わっています」っていう人は、『えんとつ町のプペル』を買ってくれるだろうと。2回目のクラウドファンディングで6500人くらいの支援者が集まって、クラウドファンディングで8000冊くらい売れたんです(笑)。

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