自己実現を図るため、ただ食べていくため、好きなことで働きたいため……など、仕事をする理由は人によって様々ですが、林先生にとって「仕事」とは、「働く」とは。


1000のうち999できなくて1つだけできる、それが今の仕事

 何のために仕事をするのかと訊かれたら、生活をしていくためですよね。この理由が一番大きい。現代の資本主義社会では、自分の労働力しか売るものがないわけですから。莫大な財産があって、利子だけで食べていけるなら仕事なんてしません。

写真/花井智子

 もし、働かなくて済むとしたら、僕は本を書いていたいですね。ビジネス書ではなく小説、それも純文学です。ミステリーは書けないので。
 昔から趣味で小説を書いていて、すでに何作か書きためています。その作品を開いては細部に修正を入れて……ということを以前はやっていたのですが、最近はその暇すらない。今の自分に小説が書けるのか、いささか不安になっているところです。

 作家の生活には憧れますね。文藝春秋や講談社といったところからベストセラーを出しておけば、「週刊文春」にも「フライデー」に私生活を狙われずに済む。いいことだらけじゃないですか。(笑)
 仮に愛人との密会現場をスクープされたとしても、世の中、作家の不倫に対しては寛大ですから。東大医学部を出て作家になった安部公房とか。いいですね〜。まさに僕の理想です。

 というのは、冗談としても、仕事として小説を書くのは僕には厳しいでしょう。僕ができること、つまり、一流になれる仕事は本当に少ないという自覚があるので。以前、妻にこう言われたことがあるんです。「あなたは100のうち99できなくて1つのことができるのではなくて、1000のうち999できなくて1つだけできる。その1つが仕事になってよかったね」って。まったくその通りだと思いますね。
 

明日の第七回の質問は「Q7.嫌いな仕事でも努力ができるのはなぜですか?」です。