予備校講師の仕事が「好きではない、むしろ嫌い」という林先生。では、林先生の仕事に対するモチベーションは、いったいどこから生まれているのでしょうか。


好きな仕事で結果が出ないほうがしんどいのでは

 仕事は、基本的に好き嫌いは関係ないと考えています。できるかできないか、それだけです。予備校界でも、「この仕事が好きなんです。生きがいです、天職なんです」と言いながら、下手な授業をしている講師を何人も見てきました。幸いなことに、生き残りの厳しい世界なので、ほどなくいなくなることが多いのが救いですが。(笑)

写真/花井智子

 もし、できの悪い人のポジションに能力の高い人がはまったら、どうなりますか? もっと周りがラクになって、もっと素敵なことができるのではありませんか? 先の講師の例でいえば、生徒にとって良いのはどちらの先生ですか? 個人的な思い入れで居座られたら、結局、多くの人に迷惑をかけることになるんですよ。

 第一、仕事ができれば、自分の承認欲求が満たされます。「林にこの仕事を頼んでよかった」と言われれば、やはり「そう言ってもらってよかった」と、嬉しくなるものです。それがモチベーションにもなりますよね。だったら、そう言われるためにはどうしたらいいのか。
 自分は、基本的には交換可能な存在だということを、常に意識していることがまず必要です。たとえば、今、使っている掃除機よりも性能がよくて安いものが出たら、みなさん、買い替えたくなりますよね? 自分という存在も掃除機と同じ。交換可能ではあるけれど、たまたまその仕事をしたら相手が「頼んでよかった」と言ってくれる。そういう状態を保つことが重要なわけです。

 自分が交換可能な存在だと意識することは、当然、危機感につながります。プロの仕事は100点満点、もしくはそれ以上しかないと僕は思っていて、90点で合格というのはアマチュアの発想です。満点を取れなかったら、他の人に替えられても仕方ない。だから、好きとか嫌いとか関係なく、仕事で努力するのは当たり前なんです。
 僕自身、努力をつらいと思ったことは、今まで一度もありません。仕事の愚痴を言うことも、本当にないんですよ。(最近、あまりにも過酷なスケジュールを組むマネージャーには、さすがに言うようになりましたが。笑)好きな仕事を選んだものの、結果が出なくて、収入も増えない。そういう人のほうが、むしろしんどいのではないですかねえ。
 

明日の第八回の質問は「Q8.仕事をしていてどんなときにやり甲斐を感じますか?」です。