恐ろしい生活習慣病のひとつ・糖尿病。怖いのは合併症だけではありません。糖尿病だと、がん、心筋梗塞、脳卒中、骨粗しょう症、アルツハイマーなどさまざまな病気にかかりやすいことが明らかになっています。例えば、二〇一三年に発表された糖尿病学会のデータによると、糖尿病の患者さんは健常者の一・九倍の確率でがんを発症することが明らかになっています。ですが、そもそも糖尿病とはどんな病気なのでしょうか。基本知識を『日本人の9割が誤解している糖質制限』(牧田善二・著、ベスト新書)より解説します。

◆そもそも「糖尿病」はどんな病気か

 

 糖尿病患者にとって、糖質制限は非常に優れた食事法である。カロリー制限のように空腹に苦しむことなく血糖値をコントロールできる。
 しかし、使い方を間違えると危険な手法でもある。「糖質制限で血糖値さえコントロールできればいいのだ」と思っていたら大変なことになるからだ。
「まだ糖尿病とは診断されていないけれど、だんだん数値が悪くなってきていて心配」というような人もいるだろうから、ここで、「糖尿病とはどういう病気なのか」について、説明しておきたい。
 まず、その診断基準を確認しておこう。

▽空腹時血糖値が一二六以上
▽ブドウ糖負荷試験の二時間後血糖値が二〇〇以上
▽血糖値(状況に関係なく)が二〇〇以上
▽ヘモグロビンA1cが六・五以上

 このどれかに一つでも該当していたら、あなたは立派な糖尿病だ。
 間違っても、「なんの症状もないから平気でしょう」などと考えないでほしい。
 さらには、「糖質制限で血糖値をコントロールすれば大丈夫」とも思わないでほしい。

◆なぜ糖尿病になるのか

 私たちが糖質を摂ると、それはすべてブドウ糖に分解される。そして、ブドウ糖は腸から吸収されて血中に出て行く。
 血中にブドウ糖が出てきたことを察知すると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌される。
 インスリンは、ブドウ糖が血中に溢れて血糖値が上がりすぎないように、せっせと働く。余ったブドウ糖をグリコーゲンという物質に替えて筋肉や肝臓などの細胞に取り込み、それでも余ったブドウ糖を、脂肪に替えて脂肪細胞に取り込む。
 健康なときは、糖質を大量に摂っても膵臓からインスリンが出て、こうした作業を頑張ってこなしてくれる。しかし、あまり無理をさせていれば膵臓だって疲れてしまう。

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