第二次安倍政権が長期化し、各メディアやインターネット上で「憲法改正」の論議を目にする機会も多くなってきました。でも、果たして私たち国民は、自民党の憲法改正案の中身を正しく理解しているでしょうか?
「憲法改正をするために必要なものは“正しい憲法観”である」と説く、憲法学者・小林節博士の著作より、憲法改正の問題点を3回に渡って検証していきます。
連載第3回目のテーマは、『改憲派議員の勘違い』です。

 自民党の改憲草案をきちんと読むと、憲法学者として賛成できる部分も多々あるが、肝心の「憲法とは何か?」がわかっていない。
 現行の「日本国憲法」と「自民党改憲草案」を比較する。

 <日本国憲法>
 第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 <自民党改憲草案>
 第百二条  全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
 2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。

 このように、自民党改憲草案には「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」との文が追加されている。これは致命的な間違いだ。

 

 「六法」という言葉があるが、実は「憲法」は他の「五法(民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)」と根本的に機能が異なる。
 民法などの五法は、国家の権威を背景に国家が国民を縛るものである。その他の各法律も同様である。
 しかし憲法だけは例外で、実権を持たない主権者・国民が、権力者(政治家や公務員)たちに対して、権力を乱用させないように管理するものである。つまり憲法とは、国民が国家(権力者=政治家や公務員)を管理するためのマニュアル(手引書)なのだ。<了>


<『憲法改正の覚悟はあるか』(小林節/著)より抜粋>