安倍首相よ、いったいどこへ行くのか……

2016年は、参院選自民大勝、英国のEU離脱国民投票、米国大統領選挙でトランプ勝利……、日本という国の行方、また世界の行方を決するような選挙の年だった。

2017年スタートはトランプ大統領の就任、英国のEU完全離脱正式交渉、つづくドイツ・フランスの大統領選、中国共産党の党代表大会……、。世界は反グローバリズム路線に舵を切り始めた。

一方、反グローバリズムの流れを「保護主義」として牽制し、グローバリズム路線を推進していこうと躍起になっているのが、安倍政権と習近平の中国だ。

今回、

「内閣官房参与藤井聡氏に作家適菜収氏が訊く! 

2017年、日本はどうなるのか?」

と題して、京都大学大学院教授で内閣官房参与の藤井聡氏と、新著『安倍でもわかる政治思想入門』で話題の作家・適菜収氏の二人が新春対談。メディアがひた隠しにする「ヤバい真実」を徹底的にあぶり出す。

第1回

藤井 先日出された本が売れているようですね。

適菜 『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ刊)。続編を出すときには、帯の推薦文を安倍昭恵さんにもらえないかなと思いまして。

藤井 昭恵夫人にも献本されたんですか?

適菜 そうなんです。昭恵さんからは「この度は大変貴重な書籍を頂戴し、誠にありがとうございました。楽しみに拝読したいと存じます。まずは取急ぎ、お礼のご挨拶を申し上げます」と丁寧なお返事を頂きました。感想をいただけたらうれしいのですが、まだ来ないんですよ。担当編集者が彼女がやっているUZUという居酒屋に行ってみようかと。

藤井 僕もお邪魔したことがありますが、いつもおられるかどうか……。

 

【日ロ共同経済活動】

藤井 ところで今日、内閣官房の執務室で仕事をしていると、街頭演説の声が聞こえてきた。 右翼の街宣車が「おい安倍!、おい岸田ぁ!」「腹を切れぇ!屈辱外交じゃねえか、腹を切れぇ!屈辱外交なんだよぉ!」と、でかい声でがなりたててました。職場では皆、「やれやれ、またいつものやつだなぁ」という雰囲気でしたが。

適菜 右翼なのにまともなことを言いますね。

藤井 今回の外交の目玉は日露共同経済活動だったのですが、これについて、ほとんどの日本人が問題構造を分かってないのに戦慄を覚えます。でもこの問題の基本論理は簡単なんです。「日本人が向こうの法律で捕まって牢屋に入れられたら困る」ということなんです。なぜかというと、「そうなる可能性があるのを分かりながら日本政府が向うに日本人を送ったら、事実上、日本政府は北方領土がロシアの法的な支配下にあることを正式に認めたことになる」ということになる。安倍首相はそれを理解しているから「特別の制度」で共同経済活動をやると言ったんですね。それは日米地位協定の逆バージョンみたいなもの。例えば日本人がロシアの警察に捕まったら、身柄は日本国政府にそのまま引き渡し、最後は日本の法律で裁く、という制度があれば、法的には日本の主権が北方領土にないとは言えない状況をつくることができる。それをプーチンに認めさせることができれば、これはホントに大きな外交的勝利となります。

適菜 まあ、無理でしょうね。共同経済活動をやって、日本の領土の実効支配性を少しずつ高めるとか、妄想もはなはだしい。プーチンがそれを認めるわけがありません。ロシア政府も北方領土はロシアの法の支配下にあると言っています。

藤井 僕の友人の中村逸郎教授というロシアの専門の先生がテレビに出てたんですが、見てると「ロシアの『主権の下』で共同活動をやるのはおかしい」と僕と同じ意見を口にしてたので、そりゃそうだ、と思ってたところ、一緒に出てた鈴木宗男氏が急に「ぶち切れ」たんです。彼曰く、実際に何十年もロシアに支配されてるんだからロシアの制度で進めたっていいじゃないか、お前何言ってんだ、って趣旨でどなり散らしてる。それを目にしてなんじゃこりゃと心底驚きました。

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