三島由紀夫(1925〜70年)小説家、劇作家、評論家。著書に『仮面の告白』『金閣寺』など。1970年、自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺。

 

藤井聡(内閣官房参与)×適菜収(作家)新春対談

「2017年どうなる、どうする?」第3回《集中連載》

 

【覚醒者は逆賊に対していかにあるべきか】

適菜 ここから先は、思考実験をやってみましょう。もし仮に逆賊が日本にいて、その逆賊に対して、日本国民はどのような態度を取ればいいのか?

藤井 逆賊が仮にいたとしてね。

適菜 仮に逆賊がいたとして。

藤井 小さな売国奴ではなくて、非常に大きな売国奴。それこそ領土や日本の誇りを売り飛ばしたりとか。

適菜 国境にこだわらないとか、外国から政治家を呼べばいいみたいな逆賊がいたとしたら。

藤井 まずは、選挙で落とさなければなりません。で、その人がおかしいということを、皆で言わなければいけません。それで今の朴槿恵大統領批判ぐらいの、大運動を起こさないといけません。

適菜 朴槿恵は支持率が下がりましたけど、北朝鮮みたいに国民が洗脳されていて、支持率が六割あったらどうすればいいんだろう?

藤井 国民の大半が昏睡状態にある、ということですね。もしそうだとしたら。

適菜 その昏睡状態にある中で、一部の覚醒した人間はどのように動けばいいのか。

藤井 昏睡状態から目覚めるためには、事実について近くにいる人に伝えていくしかない。「僕はこう思うけど、あなたはどう思いますか」と。ソクラテスがやったようなことを続けていくしかないですね。

適菜 普通の人間は、法の下に行動します。でも、たとえばヒトラーは、勢力を伸ばして、よくないことをやりはじめた。そうしたときに、法を超えないと国全体が滅びるという状況が発生したときに、どのように国民は、動けばいいのでしょうかねえ。

藤井 そのひとつの形は三島の行為でしたね。三島はできるだけ法律の範囲で、国民に覚醒してもらいたいと思った。日米安保と平和憲法の下で、単なる巨大な武器庫と化してしまった自衛隊、すなわち「国家の刀」に最期に蜂起を呼びかけた。法を犯して、それでもダメだったので自害した。自害を通して、説得を図ろうとしたわけです。この三島の行為は、一部の日本人にはその意図が伝わった。三島の行為のおかげで、一部の人々が日本をどうすべきなのかということを議論するようになった。それは間違いないけど、それでもほとんどの日本人が何もわかっていない。この昏睡状態を改善することを三島もできなかったわけです。だから、少なくともその意味においては失敗したわけですよ。それを我々は認めざるを得ない。だとしたら、あのアプローチ以上のアプローチを、とられねばならないのではないか、ということになる。

適菜 そうですね。

藤井 いろんなアプローチがもちろんある。お笑いや演劇などの表現活動もある。それは、三島も、さんざんやり倒したわけですよね。それではどうするか?

次のページ 日本の根底が朽ち果ててきているなら、もう何が起こるかわからない不穏な世の中である。