【三島由紀夫の方法】

適菜 三島は事件前に、「古林さん」、「いまにわかりますよ。ぼくは、いまの時点であなたにはっきり言っておきます。いまに見ていてください。ぼくがどういうことをやるか」という言葉を残しています。つまり、三島の頭のなかでは、スケジュールが決まっていたわけです。

藤井 ここまで日本の根底が朽ち果ててきているなら、もう何が起こるかわからないですよね。これからの時代、誰もが「万が一」の場合に「注意」する必要があるのでしょう。

適菜 右翼が怒るのも当然です。これまでの安倍の振る舞いを見れば、明らかに国を壊そうとしている。しかも本来安倍を批判すべき保守メディアが完全に腐っている。特に産経新聞は私設応援団になっている。

藤井 永田町や霞ヶ関で毎日働いていると、今の日本人、特にエリートたちはとにかく権力に媚び倒しているという実状が嫌ほど分かってしまう。権力がある者に可愛がられたら、ほとんどの官僚や政治家、ジャーナリストや言論人が、何が正しいとかウソじゃないとかは度外視してなびいてしまう。ホント「奴隷」根性そのもの。顔を踏みつけられても、「何でもするから命だけは助けてくれ」と言い続けるようなメンタリティ。問題は今の日本人のそんな腐ったメンタリティそのものなんでしょう。橋下問題というのは、橋下個人の問題でなく、日本人全体のメンタリティの問題です。さもなければああいう人物に政治的人気が出ることなどあり得ない。

適菜 最低限の矜持もない連中がものを書いている。ある程度まともな評論家でも、安倍には甘かったりする。私は政策の違いで安倍を批判しているのではなくて、詐欺師と組むなとか、ウソをつくなという次元の話です。

藤井 いずれにせよ、今問題なのは右や左ではなく「上と下」の話です。

適菜 右でも左でもなくて下なんです。しかも、下が政権の中枢に食い込んでいる。党首討論もメディアが加工してバカが消費する。蓮舫や志位和夫が妥当な安倍批判をしても、産経が紙芝居みたいな形に仕立て上げるんです。民進党が自民党批判すれば「ブーメランだ」とか。佐藤正久という髭のなんちゃらというのがいますよね。あれが、ツイッターで「そもそも二重国籍問題で説明が二転三転し、戸籍謄本を開示していない蓮舫代表に総理も言われたくないだろう」と書いていた。蓮舫が嘘つきという話と、安倍がウソつきという話は、何の関係もない。

藤井 アルカリと酸性で、中和できる話とちゃいますから。

適菜 蓮舫が嘘をついているからといって、安倍の嘘が免罪されるわけもない。こんなこと小学生だってわかるじゃないですか。この次元の安倍擁護に対して、バカたちが「佐藤さんが、すごいことを指摘してくれた」と盛り上がっているわけです。どうなってんだって話です。

藤井 僕が北方領土の原稿を書いたら、安倍を擁護をするなとか、逆に批判するなとか怒ってるヤツがでてくる。どっちもしてないがな。説明してるだけやし。

 

※藤井聡(内閣官房参与)×適菜収(作家)新春対談「2017年どうなる、どうする?」第4回につづく

 

【著者プロフィール】

◉藤井聡(ふじい・さとし)

1968年、奈良県生まれ。京都大学大学院工学研究科教授。11年より京都大学レジリエンス研究ユニット長、ならびに第二次安倍内閣・内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)。著書に『大衆社会の処方箋  実学としての社会哲学』『社会的ジレンマの処方箋 都市・交通・環境問題のための心理学』『大阪都構想が日本を破壊する』『〈凡庸〉という悪魔』『超インフラ論』、適菜収氏との共著『デモクラシーの毒』『ブラック・デモクラシー』など。

◉適菜 収(てきな・おさむ)

1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(以上、講談社)、『死ぬ前に後悔しない読書術』(KKベストセラーズ)など。安倍晋三の正体を暴いた渾身の最新刊『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ)が発売即重版。全国書店、Amazonにて好評発売中。